デジタルピヴォ! プラス

無料記事:[開幕節総力特集]Pivo! が選ぶ、開幕代々木セントラル・ベストゲーム!! Pivo! 緊急座談会①[Fリーグ](2017/6/15)

6月10日、11日。Fリーグの戦いが代々木第一体育館から始まった。今回より、数々の熱戦が行われた2日間の取材終了直後の3人による、開幕代々木セントラルを振り返る特別企画、Pivo! 緊急座談会”を4回にわたりお届けする。
第1回目は、Pivo! が選ぶ、開幕代々木セントラル・ベストゲーム”。1日中取材をしていた空腹の3人は、「おごりますから」のひと言に釣られ、代々木から原宿へ移動した。
(6月11日、開幕節終了直後に収録)

▼Pivo! が選ぶ、開幕代々木セントラル・ベストゲーム

――今年で11年目となった Fリーグが開幕しました。そこで、6月10日、11日の2日間の開幕の代々木セントラル、6試合を振り返っていただこうと思います。まず1つ目のお題として“Pivo! が選ぶ、開幕代々木セントラル・ベストゲーム”をお願いします。執筆を担当していないゲームでもかまいませんし、結果にこだわらずおもしろいと思ったものでもかまいません。それぞれ選んでいただいて、その理由もお願いします。それでは始めます。

▼エースが真のリーダーに覚醒

――それでは、まず最初は編集長の山下さん。ベストゲームをお願いします。

山下 ベストゲームは、ペスカドーラ町田対デウソン神戸。41歳の新人がデビューした湘南ベルマーレといいたいところだけど、見てないので。

佐藤 ローテンション上、山下さんの担当は初日が町田対神戸で、2日目が名古屋オーシャンズ対府中アスレティックFC。湘南戦のときは町田の原稿を書かれてましたからね。

――初日の第2試合、スコアは4-1で町田が勝利しました。(ペスカドーラ町田 4-1 デウソン神戸)

山下 町田は、篠崎(隆樹)と森谷(優太)、滝田(学)の中軸が3人ともケガで欠場した。それでも4-1で勝利。なおかつ、それぞれのゴールが非常にすばらしい。まず、エースの森岡(薫)が開始1分弱でマークをはがす個人技でドン。それも右へボールを運びながら角度をつけて折り返してだから、誰も手も足も出ない。止めようとしてもオウンゴールになりかねない森岡得意のパターンだよね。

――そして2点目は日根野屋建が決めました。

山下 そう、室田祐希が左サイドから放った反転シュートパスをゴール正面で日根野屋が詰めるという、これも手の付けようがないスピード感あふれるゴールが決まった。3点目は、原辰介がゴール正面から撃ったシュートを神戸のゴレイロ・福良一至がはじくんだけど、それを金山友紀が詰めて押し込んだ。試合後のインタビューで金山自身が語っているんだけど、まさにゴールの嗅覚が生んだ得点だ。絶対こぼれると、それも絶対ここへ来ると予測したとおりやっているんだよね。

――すごいですね。

山下 この39歳はホントにすごい! そして相手がたまらずにパワープレーに来たら、そこで4点目が生まれるんだ。イゴールが2回、ボールカットから自らパワープレー返しを狙うんですけど、2本とも外しちゃうんです。そこで3回目は、ハーフ上にいた森岡に一度預け、それを森岡が反転して、ものの見事にパワープレー返しを決めた。これで森岡は2得点で、文字どおりエースぶりを発揮した。これで、さっきいった中軸3人がケガから戻ってきたら選手層がさらに厚くなる。シュライカー大阪と名古屋オーシャンズが開幕節のようにもたついていると、町田が快進撃をするんじゃないかなと。

古澤 プレシーズンマッチを見たんですけども、大阪が5-4で最終的に勝ったんですよね。でも、町田は主力がいない中で全体的に底上げしているなと感じましたね。

山下 森岡がリーダーシップを遺憾なく発揮しているよ。町田は毎回選手投票でキャプテンを決めるんだけど、それが今回は、金山友紀にいわせると森岡が自ら立候補したという。頼もしいねえ。

▼若手が躍動した一戦

――古澤さんが選ぶ、ベストマッチはどの試合でしたか?

古澤 担当したのは、初日がシュライカー大阪対エスポラーダ北海道と、2日目がフウガドールすみだとバサジィ大分だったんですよね。だからどうしてもそこになるんですが、結論からいうと、すみだ対大分戦。

佐藤 9-1ですみだが大勝した。(フウガドールすみだ 9-1 バサジィ大分)

――大量得点ですみだが勝った試合ですね。その理由は?

古澤 ゲームとしては一方的で、そういう意味ではベストゲームとはいえないと思うんですよね。大分もうまい選手が入ったりしてますけど、選手がだいぶ変わっちゃったんでまだチームが出来上がっていない状態だったんですよね。そこが、点差がついた理由のひとつだと思うんですね。すみだも大黒柱の西谷良介(名古屋へ移籍)と太見寿人(引退)がいなくなってどうなるのかといわれていたとは思うんですけど、キックカンファレンスで須賀雄大監督が「1試合1試合成長していくチームの姿に注目してください」といってたんですね。この開幕戦で、戦いながら成長していく可能性が見えた試合だったかなということなんですよ。

山下 いってたな。

古澤 丹羽脩人もボアルース長野からバッファローズに移籍してきてトップ昇格をつかんだんですよ

山下 Fリーグチャレンジリーグのチームだよね。

古澤 ボアルース長野から移籍してきていきなりトップの開幕戦に出て、ゴールも決めてますよね。フウガとしての可能性も感じましたけど、全国どこからでもFリーガーになる可能性があるというか、そういう2つの意味で可能性のあるゲームだったかなと。

▼アイツが主役のメイン

――それでは最後は佐藤さん、ベストゲームをお願いします。

佐藤 トリが素人の僕なんですよね、酷なことしますね、お2人(笑)。僕が担当した試合は、初日がバルドラール浦安対アグレミーナ浜松、そして2日目が湘南ベルマーレ対ヴォスクオーレ仙台です。

山下 シブいね、2つとも。

古澤 両方、第3試合ですね。

佐藤 そうですね。担当した試合は、浜松のサプライズ的な感じもあって確かにおもしろかった。でもベストマッチは、僕は見てない、担当してないんですけど、ここですね、名古屋対府中。

古澤 えっ!? 普通じゃないですか。

――確かに、この試合は開幕戦の注目のカードでしたね。1-0で名古屋が勝利しました。(名古屋オーシャンズ 1-0 府中アスレティックFC)

佐藤 いやいや違うんですよ。名古屋じゃないんですよ、府中なんですよ、皆本晃なんですよ。彼の会見のあの言葉が。

山下 オレは速報記事で“皆本劇場”と書いた。あれは、おもしろいよね。

佐藤 あれは忘れられないです。僕はカンファレンスで話を聞いているんですね。開幕戦について聞いたんですけど、勝つとかあんまりたいしたことはいってないんですよ。僕らは一発勝負が強いんで、ってそのひと言だけだったんですよ、内容的には。それで、なんでかというと自信があるんでって、すっごいニヤニヤしながらアイツいうんですよ。それで開幕戦後には、オレはこのレベルで終わりたくないってことを彼はいっているじゃないですか。

山下 試合後の記者会見でナンバーワンになるんだって。でも、ゴール決めきれなかったからナンバーワンになれていないって。

佐藤 それも結局、自信なんですよね。オレならなれるって自信があるんですよ、アイツ。

――なかなかいないですよね。自分が府中の中で一番うまかったともいっていました。

山下 会見で同席してる監督の影が薄くなっちゃうくらいだからな。彼のビッグマウスにはチーム内にも、“ああ、まただよ”って雰囲気が漂ってる。

――監督も顔が固まってましたからね。

佐藤 でも、それだけのことをやってますよね。

山下 やってる、確かに。

――いいシュートを何本も撃ってましたね。

佐藤 だから、周りも引っ張られているような感じがあると思うんですよ。なので、かなりおもしろいんじゃないかなと思うんですよね。最高のキャラですよ、アイツは。

山下 おもしろいよ、間違いなくおもしろい。

佐藤 あと、ゴレイロのクロモトもすごいなと思ったんで、皆本と2人で引っ張っていくチームなんだろうなという気もしましたね。だからこの試合がおもしろかったです。ちょっと、名古屋が目玉のラファがいなかったのは残念ですけどね。でも、ラファがいなくても十分見応えのある試合だったと思うんですよ。実際に観客も2日間で一番いい、唯一2,000人超えていますから。メインイベントをちゃんとこの試合は務めたんだなと。

古澤 戦前の予想どおりって感じですね、みんなこの試合を見たかったと。

佐藤 そう。それで、ちゃんと期待を裏切らなかったことがいい。その期待を裏切らなかった主役が皆本だった。名古屋じゃなかったというところがポイントですね。

古澤 でも、負けちゃったんですよね。

佐藤 そこは関係ないんですよ。ハートに刺さる、それが勝敗よりも重要なことだと思うんですよ。

 

空腹を満たし、エンジンがかかり始めた3人のトークはつづく……

 

山下浩正
1944年、埼玉県所沢市出身。中学で幼なじみと剣道部に入るも面が臭くて2人してサッカー部へ転部。部活は以来高校まで続ける。フットサルとは1999年、有明コロシアム センターコートで開催された全日本選手権を機に本気で向き合う。

古澤学
1983年、神奈川県横浜市出身。2014年、フットサル日本代表トレーニングマッチをきっかけに12月28日、大地悟の記事でデジタルピヴォ!プラスでデビュー。以降、ペスカドーラ町田の番記者を経て、2016年から全クラブ担当になる。影響を受けたフットサル選手は藤井健太。

佐藤功
“老練の新人”という異名を名付けられ、若さがないのかと困惑するフリーライター。細々と活動中のサッカーと共に、今季よりルールを覚えるところからフットサルにも関わる。競技面よりもエンターテイメント性、文化やビジネスの側面を好む変わり者。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ