久保憲司のロック・エンサイクロペディア

【世界のロック記憶遺産100】 レナード・コーエン『Live at the Isle of Wight 1970』・・・あと10年彼が生きていたらノーベル文学賞(久保憲司)

Live at the Isle of Wight 1970 (W/Dvd) (Dlx)

 

ボブ・ディランの次にノーベル文学賞を受賞するアーティストがいるとしたらレナード・コーエンだという原稿を書こうと思っていたら、彼が亡くなったのでショックを受けている。

 

 

 

 

Les Marquises 正直言うと、僕はボブ・ディランよりもレナード・コーエンの方が上だと思っている。もっと告白すると、男で一番のシンガー・ソングライターはジャック・ブレルだと思っている。僕はフランス語が全く理解できないが、ジャック・ブレルの歌を聴くといつも僕の心は張り裂けそうになる。ジャック・ブレルの最後のアルバム『偉大なる魂の復活 – Les Marquises』の青い空のジャケットを見るだけで僕は泣いてしまう。 エディット・ピアフにも同じ気持ちになる。昔のフランスの音楽は最高だった。 突然ジャック・ブレルを聴いても何のことなのか分からないと思うのでデヴィッド・ボウイがカヴァーしたジャック・ブレルの「ポート・オブ・アムステルダム」を聴いてみてください。僕もボウイが一番尊敬するアーティストということからジャック・ブレルを聴き始め、初めは何がいいのか全く分からなかったのですが、ある日、聴いていると涙が止まらなくなりました。 アーティストに上も下もないですが、生前レナード・コーエンはボブ・ディランにこうきいている。

「ボブ、君が一番なのを認めるけど、私が二番でいいだろ。」

アーティスト同士で一体何の話しているのと笑ってしまうが、この二人が僕らのいる世界で史上最高のシンガー・ソングライターだということは間違いない(ジャック・ブレル、エディット・ピアフのこととは忘れてください。世界がもし英語しかないとしたらの話です)。 二人の会話には誰も入ってこれない。ルー・リードも指をくわえて見ているしかない。デヴィッド・ボウイは壁の向こうで二人をじっと見ているしかない。唯一対抗出来るのはロバート・ジョンソンかチャック・ベリーかもしれないが、ロバート・ジョンソンは何十年も前に亡くなっていて、チャック・ベリーはキース・リチャードに「そのギターのチョーキングな、上から下げるの間違っているぞ、下から上げるんだ」というオッサンです。自分がどれだけ文学的に素晴らしいのか全く理解出来ていないと思うので、会話にならないと思います。 さっきのレナード・コーエンに対するボブ・ディランの答えが洒落ている。

「君が一番だよ。僕は0番だ。」

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