【世界のロック記憶遺産100】 アダムスキーの『ライブ&ダイレクト』 ・・・レイブがなぜ世界中に広まって行ったか。それはパンクと同じです。ヒップホップも一緒です。学生運動も。フーリンガンも (久保憲司)
“【世界のロック記憶遺産100】なぜパンクはツバを吐くのか?”でパンクのリアルな空気感を録音しているライブ盤はシャム69のデビュー・アルバム『テル・アス・ザ・トゥルース』とストラングラーズの『ライブ X・サーツ』と書きましたが、アシッドハウスのリアルな雰囲気を感じさせてくれるアルバムはアダムスキーの『ライブ&ダイレクト』です。
本当いうとレイブの感じを一番感じさせてくれるのは、パブリック・エネミーの『It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back』です。ヒップホップがレイブ???とびっくりする人も多いと思うのですが、彼らの87年のブリクストン・アカデミーのライブを録音した出だしのこの声援とそれに続くレイヴホーンのブォーン(サッカーとかで聞こえていたやつですね。うるさすぎて今はサッカー会場に持ち込み禁止です)という音を聴くと僕は当時のレイブの熱気はこんな感じだったなと思うのです。
ちなみにこのパブリック・エネミーのライブを僕は見てます。こんなに凄い感じはなかったと思うんですけどね。ラジオ用の録画なんで盛り上がっているのを見せるために歓声足しているんですかね。イギリスは昔からライブ録音はこんなトリックをやっているみたいですね。キンクスのライブ盤とかすごい盛り上がりなんですが、当時の人にきくと「そんなに盛り上がってなかったよ」と言います。ビートルズの歓声を使いまわしていたんですね。
M-1と一緒ですね。TVで見ると出場者全員盛り上がっていたのような気がしますが、現場で見ているとスベっている人も結構いるみたいです。
テレビってすごいですね。音楽の世界も昔から一緒ですね。
パブリック・エネミーのライブはすごい緊張感がありました。というかブリクストン・アカデミーでやる黒人のライブは全て緊張感でした。会場の周りを馬に乗った警官が取り囲んでいるんです。暴動でも起きようものなら馬で制圧しようとするのです。馬は本当に怖いですよ。イギリスのおまわりさんはピストルを持っていないので、ここぞというときは、黒い棍棒で気が狂ったようにバシバシ殴るのですが、それよりも、馬に襲われる方が怖いです。大体腰を抜かしてしまいます。そこを馬がヒーヒーンと前足上げて襲うかのようなポーズで迫られると、本当にオシッコちびりそうになります。
何の話をしているんでしょう。レゲエもヒップホップも収束してしまったし、こんな緊張感はもう得られないんだろうな、残念だなと思っていたら、グライムのSkeptaの「Shutdown」リリース記念のフリー・パーティーは完全に一緒の感じでした(一分過ぎから見てください。こんなんでよく人が死なないものだとよく思います)。イギリスはいつも一緒ということですね。
例えアメリカ人のアーティストのライブだろとイギリスのヒップホップのコンサートとレイブ・パーティーが同じ雰囲気になるということなのでしょう。
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