名将論/ミハイロ・ペトロヴィッチと森保一(中編)
佐藤寿人というストライカーを最も生かせるのは、スルーパスではない。もちろん、青山敏弘の縦パスに反応してのゴールを量産しているわけだし、仙台時代はシルビーニョのパスを愛した事実からしても、中央を破ってのゴールも彼のパターンではある。だが、紫の11番が最も輝きを見せたのは、サイド攻撃の終着点としてだ。
彼の真骨頂であるポジションどりの妙やプルアウェイ、マークを一瞬のスキで外す上手さが最も生きるのは、DFが寿人だけでなくボールホルダーに対しても気配りを見せないといけない場面である。サイドにボールがある場合、DFはどうしても寿人から目を外さないといけない瞬間がある。そのタイミングを、ストライカーはよく知っていたのである。彼の広島初得点が駒野友一(現福岡)のクロスから生まれ、青山の台頭までは駒野が寿人にとって最大の得点源だった事実は、佐藤寿人というストライカーの本質を物語っている。そして、クロスからゴールを決めることは、決して身長が高ければいいというわけではない、という現実もまた、証明している。
森保一はだからこそ、サイド攻撃を重視した。
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