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皆川佑介の矜持/SIGMACLUB9月号、8月12日発売。

いつも全力で戦う皆川佑介選手のドキュメントも。記事の一部をご紹介します。

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皆川佑介は、敗戦のターゲットになってきたような雰囲気がある。それはある意味、仕方のないこと。FWは〈点をとる〉というデジタルな結果を求められるポジション。サッカーは点をとることが難しいスポーツではあるが、得点をとらないと勝利できないという事実もある。勝利できない試合が続くと、得点という結果を出していないFWに対しては、どうしても厳しい視線が向けられる。決めればヒーロー、決めなければ大批判。それはかつて、高木琢也・久保竜彦・佐藤寿人といった広島史上三大ストライカーも通った道である。

ただ、皆川佑介は、耐えている。言葉を受け止め、そして耐えている。それだけでも、筆者は尊敬する。あそこで浴びる言葉の刃の鋭さを経験したことがあるからだ。

もちろん、称賛とか励ましの言葉も、実は投げかけられていて、刃の合間に優しさが聞こえる場合もある。だが、人間というのは不思議なもので、1000の優しさよりも1つの刃の方が気になるものだ。だからもし、自分自身が皆川と同じ立場だったとしたら、その場で座りこんで動けなくなるかもしれない。

「それは、試合に出ている選手の宿命だと思っているんです」

皆川は冷静だ。

「現実に結果がついてこなかったのは確かだし、それは自分の力不足。ただ、一つだけ思っているのは、今まで試合に出続けていなかった時には、こういう批判さえなかった」

 

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