「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【新東京書簡】第二信『しばらくぶりです(弐)』後藤(2016/05/04)

新東京書簡

第二信 しばらくぶりです(弐)

■どうもご無沙汰しております。青赤のライター後藤です。

 『スタンド・バイ・グリーン』読者のみなさん、お久しぶりです。『トーキョーワッショイ!プレミアム』読者のみなさんには、いつもありがとうございます。先月から復活した『新東京書簡』、いきさつは第一回で海江田さんが説明したとおりなのだけれど、まさか「海江田さん、ヴェルディワッショイやんなよ!」と、お気楽にけしかけてから、とんとん拍子でここまで来るとは、思ってもみなかったね。

でもよく考えたら、そもそものオリジナルも、大住良之さんと後藤健生さんの往復書簡形式のあれをパク……リスペクトして、某『ロッキング・オン』の渋松対談みたいなノリも混ぜ込んでやりあったらおもしろいんじゃない? という軽い感じで始まった連載だった。その意味では『東京書簡』にふさわしい再開の仕方なのかもしれない。 

でね、困るのは……昔はヴェルディが強かったわけですよ。2000年のヴェルディ川崎時代なんか、こっちにアマラオ+ツゥットのブラジル人ブーストがあっても勝てないくらいに力の差があった。ところがいまやヴェルディはJ2。肩を並べて語り合えない。東京都全体で見るとFC東京がトップチームで、東京ヴェルディが下部組織みたいな位置づけになるから、J1でプレーするべきヴェルディの選手を東京が吸い上げる構図になってしまう。ちょうど、河野広貴や中島翔哉がランドから小平へ来てくれたように。ライバルで丁々発止のやりとりができないのは、ちょっともどかしいね。

とはいえ、いや、だからこそ、往復書簡形式が活きてくるとも言えるかな。カテゴリーがちがうクラブ間でのやりとりは、田舎の母が都会に出た息子に宛てた手紙、日本から外国の友人を気遣う手紙みたいなものかもしれない。これはこれで味がある。こっちは落ちないように気をつけるから、ヴェルディには早く上がってきてほしい。ゆくゆくは町田も武蔵野も上がってきたらロンドンみたいな活況ぶりですげえな、って思うし。

■けがをしてしまった翔哉

前回、中島翔哉について訊ねてもらった。あのときはけがをする前だったよね。もうみんな知っていると思うけれど、翔哉は422日に負傷した。そこから全治56週間との発表があり、まだけがを治している最中だ。でも過度な心配は必要ないかもしれない。受傷して数日後にクラブハウス内で見かけたときには元気そうに歩いていたし、われわれが想像しているよりは早くピッチに戻れるんじゃないかと思う。トゥーロンに出られないとするとリオ五輪本大会のメンバーに残ると断言はできないけれど、日本の切り札になってくれると信じているよ。

翔哉の序列はセカンドチームであるU-23のフォワードまたはサイドハーフ。けがをする前なら、がんばってここを乗り越えていけと言うべきだったろうね。トップチームが不振に陥っているなら、なおさらだ。でもトップが低迷を始めた頃に、時を同じくして翔哉もけがをしてしまった。いまはけがを治し、五輪を最高潮で迎えられるよう、調整に全力を注いだほうがいいんじゃないかな。もちろん、J3を調整弁に使うだけでなく、調子さえよければJ1に出てトップチームを救ってほしいよ。でも、無理は禁物だ。

あと、あえてうがった見方をすると、移籍ビジネスの観点からも、慎重にコンディションを整えてほしい気はする。五輪で大活躍したら一気に海外移籍という話になるでしょ? 勝点を獲ることもそうだけれど、移籍金を残すことだってクラブに対する貢献なわけだから、スタッフは翔哉を大切に扱うんじゃないかな。

次のページ

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ