「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【マッチレポート】J2-22[H] ファジアーノ岡山戦『半呼吸の真髄』(2016/07/11)

2016年7月10日(日)
J2第22節 東京ヴェルディ vs ファジアーノ岡山
18:03キックオフ 味の素スタジアム
[入場者数]4,944人 [天候]晴、弱風、気温27.4℃、湿度62%

東京V 2‐1 岡山
前半:1‐0
後半:1‐1
[得点]
1‐0 中後雅喜(29分)
1‐1 押谷祐樹(59分)
2‐1 井林章(83分)

●東京Vスターティングメンバー
GK31 鈴木椋大
DF2  安西幸輝
DF15 ウェズレイ
DF3   井林章
DF6   安在和樹
MF20 井上潮音(45+1分 高木純)
MF8   中後雅喜
MF14 澤井直人
MF32 二川孝広(87分 田村)
MF11 南秀仁
FW17 ドウグラス・ヴィエイラ(15分 高木大)
(ベンチメンバー:GK26太田岳志。DF5平智広、30高木純平。MF23田村直也、33渡辺皓太。FW7杉本竜士、18高木大輔)

監督 冨樫剛一

■二川の本領

ほんの一瞬、奇妙な間に息をのんだ。

9分、岡山のゴール前でドウグラスが空中戦を競り、ルーズボールを拾った二川。右サイドをフリーで走る澤井の足元に速いパスをつけようとしたが、相手の立ち位置、身体の向きを見て、寸前で止める。ぱぱっと小刻みなステップを踏み、浮き球のスルーパスを選択した。

キックモーションを止めてから次のプレーまで、コンマ数秒の世界。これを澤井はダイレクトで中央に入れ、ドウグラスがシュート。中林洋次に防がれ、こぼれ球に井上が詰めるが、またも中林とゴールポストに阻まれ、惜しくも先制点を逃した。

あの時間と空間の使い方はなんだ。澤井の足元につけるチョイスも間違いではなかったはずで、ほとんどの選手は迷わずそれを選び取っただろう。澤井がボールを前に押し出し、クロスを入れる。決定機の演出は充分に可能だった。だが、二川はわずかな間を置くことで、よりゴールに直結し、同時に手数を省くプレーを編み出した。遅すぎても速すぎてもいけない、ほんの半呼吸。その真髄を見た気がした。

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