「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【お知らせ】4月の更新予定(17.3.29)

こんばんは、ライター海江田です。

こないだ、おもしろい本を読みましてね。是枝裕和の『映画を撮りながら考えたこと』(ミシマ社)。僕は是枝監督のファンで、『誰も知らない』と『奇跡』は特に好きな作品です。『そして父になる』、『海街diary』あたりはかなりヒットしたので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。ちなみに『海街diary』の撮影現場では、東京ヴェルディの古川将大ジュニアユースコーチが、いまをときめく広瀬すずさんにサッカーの技術指導を行ったことで一部に知られています。なんつー、うらやましい現場でしょう。

『映画を撮りながら考えたこと』では、是枝監督の無名時代から今日までを振り返り、作品の企画意図や製作秘話、テレビ史雑感、ドキュメンタリーの手法、方法論などが詳細に語られています。

僕の印象に刻まれたのは、「生成」という言葉でした。以下、本書からの引用です。

〈『幻の光』は、演出に関してだけ言えば、絵コンテの再現に終わってしまった。だったら、次回作ではドキュメンタリーのように、いまそこで生成されていくものにカメラを向けていこうと思いました〉

〈僕は「やらせ」とは自己のイメージ(フィクション)を現実に優先させてしまう閉じた態度から生まれるものだと考えています。(中略)「再現」ではなく「生成」にどう立ち会うか、という姿勢の先にしかドキュメンタリーは生まれない。この「生成」に自らの取材対象を開いていくための演出と、再現に自らを閉じていくための「やらせ」は、区別されるべきだと僕は考えています〉

WEBマガジンは、まさにこれだと思いましたね。書き手と取材対象、そこに読者も巻き込んで「生成」されていく。開かれ、少しずつ新しい要素を取り込み、アップデートされ、形を変えていく。それがこの新しいメディアの魅力だな、と。

ドキュメンタリー畑の出である是枝監督の話はいろいろと参考になることが多く、久しぶりに夢中になってページをめくりました。ほうほうと読み進めながら、自分の思考がクリアになっていく、あるいは揺さぶられるのは快感です。とりわけノンフィクションの現場にいる人には、責任をもっておすすめします。

さて、いつもSBGをご愛顧いただき、まことにありがとうございます。4連勝と絶好調だった3月は終わり、4月へ。更新予定をお知らせします。

月 【マッチレポート】

水 【コラム】

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【監督・選手コメント】
  J2試合開催日 【直前インフォメーション】
※【マッチレポート】は試合翌日の更新。平日、土曜開催も。
※予想スタメンは試合前日の更新。
※【コラム】は、【この人を見よ!】【フットボール・ブレス・ユー】【新東京書簡】のいずれか。
※非公開練習や取材の都合により、予定が変更になる場合があります。

ある程度は予想された未知なる文化との遭遇。ここにきて鬼のように非公開練習が続いています。どうやら試合翌日のリカバリーと試合2日前だけが公開されそうな様子で、【練習レポート】はそこに合わせて移動します。撮影機会の減少から写真の不足が見込まれ、原則無料公開の写真ギャラリーは不定期になるかもしれません。

今後、現場の空気を伝えるためには、別の手立てを講じる必要がありそうです。こういったことは捉え方ひとつでね。制約を受けることで、僕はまた新たな自由を獲得する。そしてSBGは「生成」されていく。そんな心づもりでいます。

海江田哲朗 拝

 

ランド百景 2017.3.4

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