「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【この人を見よ!】vol.20 理性と知恵 ~MF27 橋本英郎~(17.6.7)

この人がピッチにいるだけでチームが落ち着くのはなぜだろう。今季、AC長野パルセイロから加入した橋本英郎。この春で38歳を迎えた。
いまの状況で何が必要なのか。逆に、どんな事態を避けなければならないのか。それをプレーと言葉で示し、周りを巻き込んでいく。必然、チームのベクトルが定まる。豊かな経験に基づく戦術眼を存分に発揮し、橋本の存在そのものが道しるべになっている。

■プロとしてやらなければいけないこと

プロサッカー選手である橋本英郎が、こつこつとピッチ外で続けている活動がある。女性から子どもまで参加できるチャリティ・ヨガイベント。サッカーの人が、なぜヨガを。

「子どもに対して、何か支援できることはないだろうか。プロになったときから興味があって、やらなければいけないものだという考えがありました。自分に子どもが生まれ、いよいよ何かやろうとなったとき、思いついたのが自分もやっていたヨガだったんです。それで、当時ガンバ大阪の金森(喜久男)社長に相談したんですね。やるからには最低でも10年以上は続けられるものにしてくださいと助言をいただき、始めることにしました」

それは社会貢献という角張った重たいものではなく、もっと日常的で軽やかなものだ。誰でも参加できるヨガはその場に適していた。

ヨガの講師やスタッフは手弁当で集まり、地方自治体の協力を得て会場をセッティング。そこにかつてのチームメイトも参加する。昨年度の収益はNPO法人日本クリニクラウン協会に寄付し、いくつかの病院を訪問してもらった。見慣れない道化師のパフォーマンスに目を丸くし、はしゃぐ子どもたちの顔が浮かぶ。

「東京では陸上教室をやることになっています。中央大の駅伝競技部のコーチをやっている花田俊輔が小学校の同級生なんですよ。彼に協力してもらって、本当ならいまの時期には開催しているはずなんですが、クラブに話をとおす都合、やや動きが鈍っていて。もうちょい待っててください」

ご興味のある方はぜひ。この際だから、SBGも告知や取材などで協力したい。

橋本は、こんなところでも人を巻き込むのがじつにうまい。地縁、人脈をフルに活用する。ピッチ上で見せる「関係」の人は、種目を問わないのだろう。

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