「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【この人を見よ!】vol.22 内なる獣 ~MF17 内田達也~(17.7.12)

5位で折り返したシーズン前半、最も貢献度の高かった選手を選出するとすれば、この人が最多得票を集めるのではないか。今季、ガンバ大阪から期限付き移籍で加入した内田達也。リーグ戦全試合スタメン出場で、途中交代は二度あっただけだ。
要所を押さえたポジショニング、優れたボール奪取力で中盤の守備を支え、さらには攻撃を展開する能力、ゴールに到達するまでのビジョンもある。本来、上のカテゴリーでプレーすべき選手で、これから迎えるだろう最盛期、内田をJ2で見られるのは今季が最後となるはずだ。

■八面六臂の大活躍

「内田は高い能力を持っていながら、チーム事情でなかなか出場機会を得られなかった。センターラインの安定度を高めたい補強ポイントとも合致したので、獲得に動きました」

そう語るのは、チーム編成を主導した竹本一彦ゼネラルマネージャー。この見識の正しさが証明されるには、それほど時間はかからなかった。

プレシーズンの時期、中盤の底と3バックの両方で試された内田は、開幕からボランチに定着。中盤のフィルター役、攻撃の起点として八面六臂の活躍を見せる。

内田のボールを奪い取るプレーは、巧さと強さが見事に共存していた。相手と競り合った際、バランスを崩しかけながら持ち堪え、ぐいっと身体を入れてマイボールにしてしまう。身体の軸がブレない、しなやかな強さに驚嘆した。

自身のボディバランスについて、内田は言った。

「いや、自分ではそれほど優れているとは思ってないです。むしろ、もっと強化しなければいけないと、フィジコの青柳(雅人)さんに相談して、今後のトレーニングを考えているくらいで」

あんなに当たり負けしないのに、うそだろうとわが耳を疑った僕は、すぐさま青柳フィジカルコーチをつかまえる。

「まあ、ウッチーは充分強いですけど、さらにプレーの強度を高めることは可能だと思います。止まった状態ではなく、移動しながらのボディバランスに改善の余地がある。基本的に走るということはバランスを崩すことですからね。そこで身体の軸を保つのは、そう簡単ではないんですよ」

ということは、内田はより競り合いに強く、より多くのボールをもぎ取るようになっていくのか。僕には末恐ろしい話に思えた。

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