「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【有料解除】【SBGニュース】井上潮音、ハタチの誓い(17.8.3)

20歳の誕生日を迎えた井上潮音。おめでとう!

20歳の誕生日を迎えた井上潮音。おめでとう!

■天使か、悪魔か

8月3日、井上潮音は20歳の誕生日を迎えた。「人としてちゃんとすること。今後、選手として成長していくためには、人間性の部分も大事になってくると思いますので」と、ハタチの誓いを立てる井上。「僕、人間としてはまだまだですよね?」と近くにいた内藤圭佑に訊ね、「おう、クズだな」と容赦なくバッサリやられていた。

井上の殊勝なコメントは謙遜とも受け取れるが、いまは人としてどんなふうにちゃんとしていないのか。SBG取材班は選手、スタッフに聞き込みを敢行。衝撃の事実が次々に明らかとなった。

「時間にルーズで、待ち合わせの時間に来ないことが多々あります。あいつ、悪気はないんですよ。天然というか、抜けているところだらけで」(林昇吾)

「食べるのが遅い。飲み込むタイミングを見失うのか、ずっと口をもぐもぐしています」(渡辺皓太)

「全体的に、すべてのことが、足りない」(佐藤崇史エキップメントマネージャー)

「ダメ人間ですね。最初の頃はわからなかったんですよ。人との接し方もちゃんとしていて。でも、だんだんとみんなの言う意味がわかってきた。ひと言でいえば図太い。物事に動じない。これはプレーヤーとして長所にもなりえると思います」(内田達也)

「潮音はマイペース。マイペースではいい勝負のウッチーが言うのはどうかと思いますね。僕は直さなくていいという考えです。サッカーに対しては非常に謙虚なタイプで、いいプレーを生み出す要素のひとつになっているのでは」(田村直也)

「早いうちにちゃんとしたほうがいいと思いますよ。まだ若いからなあ」(平智広)

「この年齢できちんとサッカーで身を立てているんだから、立派なものじゃないですか。僕の20歳の頃なんてひどいもんです。大学受験で二浪してて、まるでゴミのような暮らし。1年目は予備校に通えたんですが、2年目は宅浪。成人式にも出ていません。挙句、希望した大学の体育学部には落ちるという有り様ですわ」(後藤雄一マネージャー)

「課題だったしゃべるということに関しては成長著しいですよ。取材対応でもきちんと考えながら、自分の言葉で話そうとしています。ただ、感情表現がヘタなのは相変わらず。どんな球を投げても一向に返ってこないことがある。将来、チームを背負って立ってほしい選手のひとりとして、そのあたりのメンタル面がどう出るのか。クラブの宣伝やイベント参加には協力的で、そこはとても感謝しています」(倉林佑弥広報)

「あいつはサッカーに対しては非常にまじめ。それで充分だと思いますが、燃えるものを表に出すタイプではないから、人によって見方が分かれるかもしれませんね」(藤吉信次コーチ)

「自分の出した物を片付けられない。先輩との待ち合わせでも遅れるのは当たり前。こないだ一緒に映画を観にいったんですね。まず、待ち合わせの時間に間に合わないという連絡があり、開演の時間には到着できるというから劇場でチケットを買って待っていたら、結局それにも間に合わなかった。すごいでしょ? おれもう、キレるのを通り越して、笑えてきちゃって。ぶっ飛んでいる人が好きだからなあ。潮音のことがかわいく思えてしょうがない」(安西幸輝)

「おれは潮音に厳しく言ってますよ。昔のヴェルディだったら、間違いなくぶん殴られるぞと。でも、幸輝がすぐに甘やかすんだな。困っちゃいますよ。いつだっけ、あまりにも潮音のやらかしが治まらないもんだから、約束させたことがありました。次にやらかしたら坊主! さすがに坊主はいやでしょうから。そしたらあいつなんて言ったと思います? 『やらかす気しかしない……』。これを聞いて、おれはもうダメだと思いました。サッカーが巧くて、顔がいい。あいつは本当にそれだけなんです。こっちを見て、ニターッと笑い、絡まれ待ちみたいな態度を取ることも。笑いのツボがわからないし、中学生みたいな遊びをして喜んでるし。いくらサッカーが巧くて、顔がいいからって。まあでも、潮音や幸輝、それに澤井(直人)も加えて一緒に遊んでいると、妙にバランスが取れて楽しいんだよなあ」(高木大輔)

ある分野で飛び抜けた能力の持ち主は、欠落した部分も大きいというのが定説だ。そのデコボコが人間の魅力とはいえ、度が過ぎると社会生活に差し支える。今後、SBGでは可能な限り追跡取材を行い、毎年8月3日に「人間・井上潮音」の現状報告を上げることにしたい。

 

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