「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【フットボール・ブレス・ユー】第26回 王者の理由(17.10.4)

第26回 王者の理由

2017プレナスなでしこリーグ1部、頂点に立ったのは日テレ・ベレーザ。リーグ3連覇の偉業を達成した。

9月23日の第16節、2位のINAC神戸レオネッサを2‐0で下して早々と優勝を決め、続く第17節の伊賀フットボールクラブくノ一戦は3‐2の逆転勝利。ここまで14勝2分け、負けはわずか1という猛烈な強さである。35得点8失点、得失点+27の数字もずば抜けている。

2015シーズンからチームを率い、3連覇に導いた森栄次監督は言う。

「失点の少なさは優勝できた要因のひとつですね。コンパクトな陣形を保ち、ボールを失ったら素早いプレスバックを仕掛け、2、3人で相手を追い込む。組織的なディフェンスはシーズンを通して機能したと思います」

なでしこジャパンに複数名を輩出するハイレベルなチームだ。個々の力を引き出し、集団に束ねることができれば、コンスタントに勝点を積み重ねるのは可能に思える。だが、事はリーグ3連覇だ。それも毎年優勝候補の筆頭に挙げられ、他チームからの厳しいマークにあいながら成し遂げた。強さの持続、否、パワーアップさせていくのは、とても一筋縄ではいかない。

「一貫して進めてきたのは、ストロング、強みを出していこうという取り組みです。個々の選手を見れば、足りない部分やマイナス面はあるんですよ。それはそう簡単には消せない。でも、強みを出し、カバーすることで不足を最小限に抑えることはできます。全員で、それを可能にするチームをつくり上げた。若い選手を伸ばすために多少の傷には目をつぶってきたので、その分、ベテランの岩清水(梓)や阪口(夢穂)には負担が掛かっているでしょうけどね」

伸び盛りの若手のひとりである隅田凜は、今季の戦いについてこう語った。

「今年は1‐0、2‐1といった僅差のゲームを勝ち切れるようになりました。気持ちの面で強くなり、劣勢に立たされても慌てなくなりましたね。全員が身体を張って守り、後ろが辛抱していれば、前のタナっさんが必ず点を取ってくれる」

タナっさんとは、エースの田中美南。現在、得点ランクトップの15ゴールを挙げ、2年連続の得点王をほぼ手中に収めている。

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