宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料記事】中村慎太郎 Jリーグ百年構想の向こう側へ vol.3 対談いぬゆな氏「なぜJリーグとサポーターは対立する羽目になったのか」

■Jリーグ事件簿2015(1)2ステージ制&プレーオフの導入

中村 対話を続けていく前に、2015年の出来事を整理させて下さい。何がありましたっけ? ハロウィン事件、2ステージ制、CSのレギュレーション、J2プレーオフ決勝の開催地について……。

いぬゆな 他にも相次ぐ誤審の問題やJ’s Goalの閉鎖と再開というのもありましたね

中村 ああ、そうだった!色々ありすぎて(笑) そしたら、2ステージ制&プレーオフの導入から始めますか。これが一番の大炎上物件でしたね。率直に言うとぼくはこのシステムは嫌いじゃないです。ゲームのルールは複雑な方が好きなんですよ、個人的に(笑)。

いぬゆな お金がないんだからしょうがないって事情もありますしね。

中村 さすがいぬゆなさん! そうそう、実は最近のJリーグの動きの背景には常に金欠という大問題があるんですよね。

いぬゆな それを知らない人ほど怒っていることが多いですね。そのへんも対話不足ですね。当初は否定が多かったものの、最近は肯定的な意見も増えてきたように感じますけどね。

中村 それに、千葉サポのいぬゆなさんからしたら「そんなのカンケーねぇ!」ってのもありますよね。

いぬゆな 正直言ってあります(笑)。

中村 J2プレーオフについては、当事者としてどう思いますか? 千葉はいつも涙を飲む立場になってしまいましたが。

いぬゆな 本気で悔しくて泣きそうになりました。けど、これがクラブを愛しているという実感だと思いました。悔しかったですけど、これほど濃厚な感情を持つことは滅多にないので、あれはあれで得がたい体験でした。本気で悔しかったですけど!!

中村 たとえ理不尽なレギュレーションであっても、負荷が高いとドラマが生まれるというのは、日本だけのことではないと思います。公平公正がいいのか、多少偏っていてもドラマが生まれるほうがいいのか。

いぬゆな 負けると本当に悔しいので、是非みなさん体験してみて下さい

中村 (嫌です)。

■Jリーグ事件簿2015(2) J’s Goalの閉鎖と再開

中村 J’s Goalについてはどうでしょう。新参者のぼくには感覚が掴み切れていないのですが。

いぬゆな これも「お金がないからしょうがない」ってのが最初にきますね(笑)。

中村 お抱えライターがクビになったというので怒っている人もいましたが、その分人件費がかかっているわけですからね。フリーライターの宿命なのでそこはしょうがない! ただ、閉鎖したことについてはみんな怒っていましたね。

いぬゆな そうですね。そして、慌てて復活させた新サイトもあまり充実していませんでしたからね。

中村 そうなんですね。新旧ともに、それほど熱心に見ていないのですが。

いぬゆな 「やるならちゃんとやって!!」と思いますね。

中村 そのへんは、さじ加減がわからないのかもしれませんね。どこまでやればサポーターは満足するのか、あるいは怒るのか。これはなかなか難しい問題です。この企画で「俺ならJ’s Goalをこうする」みたいな意見を募集するのもいいかもしれませんね。

いぬゆな J’s Goalは、サポーターにとってJリーグに参加できる唯一の場所でした。自分たちがJリーグに所属していると思える数少ない場所のひとつだったといえます。

中村 ああ、そうか。そういうことなのか。大事な場所が突然バッサリなくなってしまったと思っただけではなく、改悪されて戻ってきたわけですから、馴染んだ自分の家だとは思えなくなったわけですね。そう考えると、J’s Goalは対話チャンネルの一種だったのかもしれないですね。サポーターとJリーグをつなぐ架け橋ですね。それが、ある日突然ばっさり切られてしまったら、サポーターからすると一気にJリーグ不審に傾くのは自然です。先に手を出したのはあちらさん、という理屈になります。

いぬゆな 確かに、J’s Goalが一度なくなってからのほうが、サポーター界隈の怒りは大きくなったような印象がありますね。

中村 いつでも対話できる仲間だと思っていたのに、Jリーグからはいつ捨ててもいい存在だと思われていることがわかってしまった。そこまでダイレクトに思う人は少ないかもしれませんが、深層心理にはあるかもしれないですね。

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