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【無料記事】中村慎太郎 Jリーグ百年構想の向こう側へ vol.3 対談いぬゆな氏「なぜJリーグとサポーターは対立する羽目になったのか」

■Jリーグ事件簿2015(3)ナビスコ決勝ハロウィン事件

中村 「2ステージ制とJ’s Goalについても、いぬゆなさんはかなりの労力をかけてブログ記事を書いていますね。

いぬゆな 厄介なやつはだいたい書きました(笑)。

中村 お疲れ様です(笑)。ハロウィン事件について書いていた記事も印象に残っていますね。

※ハロウィン事件 ナビスコカップ決勝がハロウィンの時期に重なったこともあり、村井チェアマンが「「ハロウィーングッズを身に着けてスタジアムに集まっていただければ。(チームカラーが)かぼちゃ色のチームは出ませんが、試合前後も含めて一日家族で楽しんでいただける空間にしたい」と発言したところ、なぜか大炎上した怪奇事件。

いぬゆな あの記事では、炎上した理由を3つに分けました。(1)村井チェアマンが嫌いだから。(2)サッカーは遊びじゃないから。(3)ハロウィン自体を受け入れていない人が多いからです。

中村 (1)の理由については、今までの蓄積してきたものがあるにせよ、それを除くと怒るような話ではないはずなんですけどね。

いぬゆな これ、チェアマンが言い出すのではなく、サポーター主導だったら全然違ったと思いますよ。

中村 なるほど!鹿島アントラーズのサポーターが、かぼちゃを大量に持ち込んで「ゴール、ハロウィーン!!」と叫ぶ……なんてことはクラブカラーを考えると想像しがたいですが、FC東京のサポーターだったらお祭り騒ぎになりますね。間違いなく。「カーボチャーよりも、コスプレーよりもー、東京!!」とか歌いながら。

いぬゆな 確かにFC東京はいつもそんな感じで騒いでるイメージあります(笑)。

中村 そういうことか! わかってきた! 本来はサポーターが主体になってやるべきことを、Jリーグが我が物顔で告知していることに腹が立つということですね。

いぬゆな Jリーグの試合の魅力の多くはサポーターが生み出しています。サポーターこそがJリーグの価値だと言ってもいいと思います。そこをおもしろがる感覚がJリーグにもあるといいんですけどね。

中村 いぬゆなさん、どうもありがとう! すっごく面白かったし、思考がかなり進みました! でも、盛りだくさんすぎて終わらなかったので、来月もう一回付き合って下さい。出来れば多くのサポーターの意見を集めた上で、Jリーグに持って行きたいので、意見の募集についてもご協力頂けると助かります!

いぬゆな 是非是非! また面白いことをしましょう!

※ブログ『Inuunited』 関連記事
「村井チェアマンのハロウィン発言が炎上した3つの理由と分析」
「J2サポがいまさら考える『2ステージ制導入の理由』と『的外れな批判』について」
「『J’s GOALの熱き挑戦』から考えるJリーグファンコミュニティ」

■Jリーグ事件簿2015に対する意見の募集

熱い夜は終わり、いぬゆな氏は犬小屋がある千葉県へと帰っていった。

サポーター目線でJリーグを見ている、あるいはサポーター目線でしかJリーグを見ることが出来ない者同士の対談は、とてもよく噛み合っていて刺激的であった(サポーターに関心を持っていないサッカー関係者と話すとこうはいかないのである)。

FC東京サポーターの友人P氏(彼は牡蠣ばかり食べて暮らしている)にこう言われたことがある。

「いつもぼくらが飲みながら語っている内容を書き始めたな」

そう、こういった話は、サポーターが飲み屋とか待機列に並んでいる間とかに自然に語っている話なのである。ぼくはこういった話にこそ価値があると思っている。普通のサポーターがJリーグをどう捉えているのか。そして、Jリーグにどうあって欲しいと思っているのか。一つ一つは小さな意見だけど、それを拾い集めると大きな流れになるのではないか。いや、必ずやそうなるはずだ。

いぬゆな氏がJリーグの魅力はサポーターが生み出すという趣旨のことを語ってくれたが、これはぼくも強く感じていることである。Jリーグの魅力を高めるのも、地に落とすのもサポーター次第なのである。

というわけで、今回の記事ではJリーグに対する意見を募集する。記事内で取り上げた2015年の出来事や、それ以外のことでも構わないので、Jリーグはこうあって欲しい、こうあるべきだという意見を募集したい。頂いた意見をいぬゆな氏と共に総括して、前回宣言した通りJリーグへの取材を申請してみようと思う。申請が通らなかった場合でも、頂いた意見を取まとめて伝えるつもりである。

来月の連載では、頂いた意見に基づいてもう一度いぬゆな氏との対談を行い、再来月にはJリーグの門を叩きたい。

ご意見の送り先は、徹マガ(tetsumaga@gmail.com)に送っていただくか、ぼくのブログ「はとのす」(http://shintaro-hato.com/)、いぬゆな氏のブログ「INUUNITED」( http://inuunited.com/)」においても、後日ご意見を募集するので、そちらをご参照頂きたい。

●中村慎太郎(なかむら・しんたろう)
東京生まれ、東京育ち。東京大学農学生命研究科で水産学の研究に従事した後、作家活動を始める。ふらっと初観戦したJリーグの試合に見せられ、以降全国のサッカークラブを観光しながら訪ね歩いている。今のテーマは、気楽なサッカーツーリズム。デビュー作の『サポーターをめぐる冒険 Jリーグ初観戦をした結果思わぬことになった』(ころから)が、第2回サッカー本大賞を受賞。徹マガにも2回登場(通巻173号&206号)。

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