宇都宮徹壱ウェブマガジン

「もうひとつのワールドカップ」から見えてくるもの 実川元子+FCコリア(シン・ヨンギ、ホ・リャン)インタビュー <2/2>

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■アブハジアの空に流れる『アリラン』

――さて、今大会に出場したチームはFCコリアですが、名称が『ユナイテッド・コリアンズ・イン・ジャパン』となっていました。この違いを説明していただけますか?

実川 チーム名はFCコリア。協会の名称が『ユナイテッド・コリアンズ・イン・ジャパン・フットボール・アソシエーション』なんです。協会を作らないとConIFAに加盟できないから。

――事務所とかあるんですか?

実川 住所は、赤羽にあるスポーツの森ですね。ただしスタッフが常駐しているわけではないです。

――なるほど。では実川さんは今回、どういう立場でチームに帯同したんでしょうか? というのも、最初は取材者としてConIFAと出会ったわけですけど、今回はすっかりユナイテッド・コリアンズの「中の人」になっていたわけですよね?

実川 最初は木村(元彦)さんからも「とにかく一歩引いたところから手を貸すという立場をとらないといけない。主体はユナイテッド・コリアンズの人たちなんだから」と言われていたので、実はホテルも選手とは別で取っていたんです。そしたら宿泊したホテルにWi-Fiが入ってない! ConIFAからの「ああせい、こうせい」のメールがいっぱい来るのをチームに伝えなければならないんですけど、それもできない。しかもホテルのスタッフは英語ができなくて意思疎通がはかれず、Google翻訳もWi-Fiがないから使えない。アブハジアの首都スフミでは最高ランクのホテルと言われたのですが、部屋は頭が痛くなるくらい変な匂いがしていて、本当に参りました。結局、一晩泊まっただけですぐに選手村に移ったんです。

――そうでしたか。ところで今回、選手は何人だったんですか?

 16人ですね。今いるメンバーが20人くらいですから。仕事の都合で行けない選手もいて、それでその人数になりました。

――アブハジアの第一印象はどうでした?

シン 実川さんの説明では、アブハジアは「危険レベル4」って聞いていたんですけど、僕らの祖国も「危険レベル4」ですから(笑)、まったくそんな感じはしなかったですね。むしろ、世界にはこんなに居心地のいい国もあるんだ、みたいな感じでした。特に女性が可愛かったですね。

実川 いいね、正直で(笑)。

 自分も「危険レベル4」って聞いて、最初はちょっと怖かったんですけど、実際に行ってみたらみんなフレンドリーでしたし、僕らの試合でも地元の人たちが応援してくれて、ものすごく温かいものを感じました。

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