宇都宮徹壱ウェブマガジン

RIOを振り返り、TOKYOを想う 千田善×篠原美也子×宇都宮徹壱鼎談<1/2>

(c) 篠原美也子

 リオ五輪が閉幕して、いもので10日が過ぎた。皆さん「リオロス」はもう克服されただろうか。日本が過去最多のメダルを獲得した、今回のリオ五輪。当ウェブマガジンでも、この機会に振り返ってみることにしたい。

 今回のゲストは、徹マガ時代からの読者にはお馴染み、国際ジャーナリストで通訳・翻訳者の千田善さんとシンガーソングライターの篠原美也子さん。千田さんは国際政治の視点を交えながら、篠原さんは「雑食スポーツウォッチャー」としての立場から、そして私は「もうちょっと頑張ってほしかった、男子サッカー」という想いを抱きつつ、今大会を語り尽くすことにしたい。

 なお今回の鼎談は、篠原さんにご自宅を解放していただき、のみならず美味しい手料理とお酒まで頂戴した。さらに篠原さんには、素敵なイラストまでご提供いただいている。篠原さんとご家族には、あらためて御礼申し上げます。(取材日:2016年8月21日@東京)

■リオ五輪、それぞれの楽しみ方

――早いもので、17日間にわたるリオ五輪も、あとは男子マラソンと閉幕式を残すのみとなりました。SNSを拝見していると、おふたりとも今大会を随分と楽しんでおられたようですが、篠原さんには「雑食スポーツウォッチャー」の視点から、そして千田さんには国際政治の視点から、それぞれ今大会を振り返っていただきたいと思います。まずは篠原さん、HPの「夏休みの絵日記」シリーズ、楽しく拝見していましたが、本当に相変わらずの雑食ぶりですね(笑)。

篠原 徹マガで連載を持っていたときは、ソチ五輪はあったけれど夏はなかったんですよね。でも私はもともと五輪が大好きだし、今日も近代五種とか見ちゃって「馬術、すごい!」と盛り上がっていました(笑)。もちろんワールドカップも大好きですけど、毎日、ずっとTVで何かしらスポーツが観られるというのは本当に幸せ。夜中に予選を観て、いったんソファーで寝落ちしてから午前中の決勝を観て、それが終わったら午後はリピート放送でマイナー競技を観て。この2週間、1回も布団で寝てないという(笑)。それくらい今回の五輪は、がっつり楽しませていただきましたね。

――すごいですね(苦笑)。千田さんも今日は女子バレーのセルビア対中国の決勝を観ていて、寝られなくなったそうです。

千田 そうそう。徹夜で朝まで翻訳作業をしていて、寝ようかなと思ったところに始まったのね。バレーの女子はセルビアが中国に負けて銀だったんですけど、男子バスケットボールでもセルビアが決勝に進出したし、男子水球のベスト4にはセルビア、クロアチア、モンテネグロにイタリアと、まるで「アドリア海大会」みたいになっていたし(笑)。こっちはセルビアが優勝したんだけど、その水球王国に日本が挑んで第1ピリオドを取ったのはすごいと思いましたね。

篠原 そのあとはメタボコにやられちゃったんですけど。

――あらためて旧ユーゴ系球技の強さを実感しましたよね、今大会も。

千田 旧ユーゴ系はサッカーやバスケをはじめ、もともと球技は強いですけれど、最近はクロアチアがトラック&フィールドで頑張っていますね。走り高跳びとかやり投げとか、いずれも女子でしたけど。

――球技といえば、日本も頑張っていましたよね。女子バレーは残念でしたが、卓球の男女、テニスの錦織圭、そしてバドミントンの女子でメダルを獲得しました。テニスといえば、篠原さんは錦織とナダルの3位決定戦、どっちを応援していたんでしょうか?

篠原 もちろんナダルですよ(笑)。錦織くんが発展途上だった時代は「まあ、応援しているけど、やっぱりナダルが勝つよね」っていうスタンスでしたけど、今はもう拮抗しているので、ここはナダル、悪いけどナダル(笑)。

――千田さんが大会期間中、注目していた競技や選手というのは?

千田 僕はやっぱり旧ユーゴ諸国の動向をチェックしていたんですけど、水球の決勝とか日本が絡まない競技はほとんどTVではやらないんですよね。ちょっと前まで、日本は陸上でほとんどメダルが取れなかったから、いろんな国の選手の競技を見ることができたけど、今大会はメダルラッシュでしたから気が付けば日本ばっかりでした。

――男子400メートルリレー決勝に日本が出て、しかも銀を取ってしまう時代になりましたから、隔世の感があります。現時点でのメダル獲得数は、スポナビによると、金が12、銀が8、銅が21。これ、ロンドン大会の記録(38)を更新する最多記録ですよね。

篠原 ロンドンが過去最高って言っていましたね。日本にとっての夏の五輪って、柔道のヤワラちゃん(谷亮子)のメダルから始まって「おっしゃー!」ってなるけれど、大会を折り返して陸上には日本がなかなか(メダルに)絡めないという感じでした

千田 それが今大会は最後まで山場があったよね。

篠原 日本人も頑張ったし、ウサイン・ボルトも素晴らしかったし、結局最後までたっぷり楽しませてもらえました。

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