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【無料記事】存在感を示した「元ヴォルカ」 今日の現場から(2016年9月11日@鴨池)

 9月11日は、1カ月の中断期間を終えて再開されたJ3リーグを観戦。カードは鹿児島県立鴨池陸上競技場で開催された、鹿児島ユナイテッドFC対ガイナーレ鳥取である。この試合については後日、スポナビに連載中の『J2・J3漫遊記』にて掲載予定なので、ここでは少し短めに。

 ホームの鹿児島が2-0で勝利し、2位を堅持したこの試合。ゴールを決めた永畑祐樹(42分=今季初)と赤尾公(48分)は、いずれもヴォルカ鹿児島の出身である。FKを直接決めた赤尾は、この日ベンチスタートとなった田上裕に代わってキャプテンマークを付けての出場。こうしたエピソードは、個人的にとても嬉しく感じられた。

 私にとってヴォルカとは、2005年に初めて九州リーグを取材した時から、常に視界に入る存在であった。鹿児島サッカー教員団を前身とし、1959年に設立された鹿児島の古豪は、しかし2014年のFC KAGOSHIMAFCK)との統合によって、その長い歴史に幕を閉じることとなった。

 もちろん両者納得の上での統合であったし、県内にJを目指す2クラブの共存が難しいことは、誰の目にも明らかであった。ただし、メディアで語られる鹿児島ユナイテッド誕生の歴史は、大半が「FCK視点」のものばかり。「ヴォルカ側からは、どう見えたのだろう?」という疑問が、今回の鹿児島取材の出発点となった。

 ヴォルカの名前はなくなったが、今季はヴォルカ出身の選手が5名残っており、フロントにもゴール裏にもヴォルカから合流した人は少なからず存在する。「鹿児島をひとつに」と言うは易し、その過程には多くの課題や葛藤があったはずだ。今季の好調ぶりの要因と併せて、現地でしっかり取材を続けることにしたい。

<この稿、了>

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