宇都宮徹壱ウェブマガジン

勝ち点1の重みをかみしめながら WMフォトギャラリー(メルボルン篇)<1/2>

 メルボルンで行われたワールドカップ・アジア最終予選、対オーストラリア戦は周知のとおり1-1のドローに終わった。これから帰国の途につくにあたり、当地で撮りためた写真を一気に公開することにしたい。

 先のコラムでも触れたが、メルボルンは日本代表にとって「鬼門」のひとつとなっている。1956年のメルボルン五輪を起点として、日本は当地でオーストラリアと対戦した4試合すべてに敗れているのだ。今回のドローという結果は、60年を経て初めて獲得した勝ち点1ということになる。

 さて、今回のメルボルン滞在は実質4日間。観光に行くこともなく、B&Bとスタジアムの往復、時々外食という感じではあったが、今思えばかなり中身が詰まった日々であったと思う。それではさっそく、メルボルンでの日々を振り返ることにしよう。

【10月8日】

 13時30分にメルボルン国際空港に到着。ここを訪れるのは昨年1月のアジアカップ以来だが、今回は春先ということもあり陽光は穏やか(ただし、かなり肌寒い)。季節は日本の逆で、時差は日本時間プラス2時間。オーストラリアはある意味、アジアで最も特殊アウエーと言えるかもしれない。

 空港バスでシティまで向かい、そこからトラムと徒歩で今回の宿を目指す。途中、広い公園を歩いていたら、明らかに日本のアニメを意識したと思われる集団を発見。よくよく観察していると、チャンバラの野外講習会をやっているようだ。なんだか楽しそうだが、先を急ぐことにする。

 無事に宿のチェックインを済ませて、トラムに乗って本日の練習場であるレイクサイドスタジアムへ向かう。トラック付き、平屋建ての競技施設。ここを本拠としているサウスメルボルンFCは、Aリーグ開幕以前に開催された2000年の第1回FIFAクラブワールドカップに「オセアニア代表」として出場したことで知られている(今はビクトリア州プレミアリーグに所属)。

 到着したばかりの日本代表は、この日はイラク戦に出場した選手とベンチスタートの選手に分かれて調整。久々に出番がなかった香川は、腐ることなく黙々とトレーニングをこなしていた。トップ下で結果を出した清武弘嗣の評価が高まる中、一時的にプレッシャーから開放された香川の巻き返しに期待したいところだ。

 イラク戦で劇的な勝ち越しゴールを挙げた山口蛍。9月に久々に招集された際は当人も戸惑っていたようだが、「戦えるボランチ」としての代表での地位を取り戻したことで、その表情にも多少の余裕が感じられる。メディア対応で、もう少し大きな声が出るとさらによいのだが。

 むしろ心配なのは、この人。初戦のUAE戦を落としてから2連勝したものの、いずれも薄氷を踏むような勝利であった。チームが自信を取り戻す過程にある中、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の表情はこのとおり。大一番を前に、眉間のシワはさらに深まるばかりだ。

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