宇都宮徹壱ウェブマガジン

勝ち点1の重みをかみしめながら WMフォトギャラリー(メルボルン篇) <2/2>

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【10月10日】

 日豪戦前日。前日会見と練習の取材をするべく、試合会場のドックランズ・スタジアムに向かう。2000年にオープンした多目的競技施設で、サザンクロス駅から徒歩5分でアクセスできる好立地にある。現在はUAEの航空会社が命名権を獲得し、普段は『エティハド・スタジアム』と呼ばれている。

 こちらはスタンドから見たところ。屋根は開閉式となっており、オーストラリアンフットボールがメインのためピッチはオーヴァル(楕円形)となっている。とはいえ、09年にワールドカップ予選が行われたMCG(メルボルン・クリケット・グラウンド)に比べればはるかに見やすい。収容人数は5万6347人。

 前日会見に臨む、オーストラリア代表のポステコグルー監督(右)とキャプテンのイェデナク。オーストラリアの指揮官は「世代別代表で日本と互角にやれているのは、今のところはA代表だけ。だがAリーグがJリーグと競えるレベルまで成長できたら、その状況も変わってくると思う」と、日本へのリスペクトの念を隠そうとしなかった。

 オーストラリアの前日練習は、冒頭15分のみの公開。ファンを前にして行われた前日と異なり、この日はさすがに選手たちの表情にも緊張感がみなぎっている。勝てば予選突破に向けて大きく視界がひらける、明日の日豪戦。果たしてどんな勝利のイメージを思い描いているのだろうか。

 続いて行われたハリルホジッチ監督の会見は、ここ最近で最も後味の悪いものとなった。「1年前、この状況が分かっていたら──つまり、海外組15人のうち12人がスタメンで出ていないという状況が分かっていれば……。私はプレーしている選手を選ばなければならないと思っていた」という捨て台詞のような言葉を残し、英語の通訳が終わらないうちに席を立ってしまった。

 日本の前日練習も冒頭15分のみの公開。こちらも選手たちの表情はいつになくい。指揮官が余裕を失ってしまっている中、ピッチに立つ選手たちがいかに冷静さを保ちながら、本来の力を出し切ることができるのか──。すべてはそこにかかっている。明日の試合はまさに、日本の底力が問われる試合と言ってよいだろう。

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