宇都宮徹壱ウェブマガジン

モノクロームに包まれた「微笑みの国」 プミポン国王崩御後のタイ・サッカー界最新事情

 タイ王国のプミポン・アドゥンヤデート国王(ラーマ9世)が10月13日に崩御して、1週間が経過した。

 タイといえば私自身、先月のワールドカップ・アジア最終予選でバンコクを訪れているし、崩御前日の12日にはメルボルンからスワンナプーム国際空港でトランジットしている。帰国した日の夜にTVで国王崩御の報に接し、つい半日前まで接していた「微笑みの国」の人々の深い悲しみを思うと、何ともいたたまれない気分になってしまった。

 そんな中、気になるのが未曾有の自粛ムードがサッカー界に及ぼす影響である。タイの国内リーグには、プレミアリーグから3部に至るまで数多くの日本人選手や指導者が働いている。Jリーグもここ数年、ASEAN諸国の中でもタイとの関係性を重視してきた。さらに言えば、日本とタイはアジア最終予選で同組となっており、その点もまた気になるところである。そこで、『タイ・プレミアリーグに行こう』というサイトを運営している、バンコク在住の浜崎勇次さんに現地の様子を尋ねてみることにした。まずは今のバンコクの様子について。

「今のところ経済活動は普通に行われていますが、たとえばデパートではBGMは流れていませんし、TV放送も国王関連のものしか放送されていません。コンビニやスーパーではアルコールの販売を自粛していますし、バーやナイトクラブなどの娯楽施設は密室の店舗だけが営業時間を短縮してやっているくらいですね。あと、ネットのSNSは個人・団体を問わず、プロフィール写真をモノクロームにするのが主流です。国内のウェブサイトも、ほとんどが白黒ベースに変更されていま

 浜崎さんによれば、この時期に原色などの目立つ服装は「不敬だ」として、批判や暴力の対象となるなど行き過ぎた面も散見されるという。では、タイ国民はいつまで喪に服するのか。政府機関や国営企業、教育機関は14日から30日間半旗を掲げ、公務員や国営企業職員は1年間の喪に服するという報道があったが、一般国民も最低30日間は娯楽やエンターテイメントを自粛することが求められているそうだ。当然、その中にはサッカー観戦も含まれている。

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