宇都宮徹壱ウェブマガジン

「本命」不在のサバイバルゲーム WMフォトギャラリー(愛媛全社篇)<1/2>

 かねてより予告していたとおり、今回は1月22日から26日まで愛媛県で開催された第52回全国社会人サッカー選手権大会(全社)の模様を、フォトギャラリー形式でどこよりも早くお伝えすることにしたい。

 今大会を一言で言えば、まさにタイトルに示したとおり。地域CLに出場できる、各地域リーグのチャンピオン(いわゆる「権利持ち」)は東京23FCとFC今治の2チームのみ。しかしいずれも、2回戦で姿を消してしまった。

 また、各地域リーグで優勝できず、全社枠獲得を目指していた「全社懸け」の強豪(今大会でいえば、サウルコス福井やVONDS市原FCなど)も、志半ばで敗れ去った。さらにいえば、旋風を巻き起こすことを期待されていた都道府県リーグの新鋭たち(沖縄SVやいわきFC)も、あっけなく敗れ去った。

 では、期待はずれの大会だったのかといえば、もちろんそんなことはない。意外性に満ちた今大会は、さまざまな新しいクラブとの出会いがあった。と同時に、全社という大会の残酷さや不条理さや奥深さといったものを再認識することもできた。そんなわけで、さっそく皆さんを会場にご案内しよう。

【10月22日=大会1日目@北条】

 来年開催される、「(えがお)つなぐえひめ国体」のリハーサルを兼ねて開催された、今回の全社愛媛大会。全社取材はいつも大会2日目からスタートしているのだが、今回はFC今治の試合を見ておきたかったので初日に北条スポーツセンターを訪れることにした。この日は4会場6ピッチで1回戦が行われ、敗れた16チームはそのまま大会を去ることになる。

 大会初日、愛媛はあいにくの雨模様に見舞われた。困ったことに会場には、メディアの控室が用意されていない。これではPCも開けないし、荷物の置き場所もない。国体のリハーサルということであれば、メディア関係者のこともきちんと考えていただきたいものだ。そんな中、第1試合に臨む鈴鹿アンリミテッドFCのサポーターは、雨に濡れながら懸命にコールしていた。

 鈴鹿の対戦相手、AS.ラランジャ京都は関西2部4位。久々に中尾真那の姿を見ることができた。サンフレッチェ広島時代にU-20日本代表にも選ばれるも、怪我のためワールドユース(当時)には出場ならず。その後、北信越時代のツエーゲン金沢を経て、ラランジャのプレーは8シーズンに及ぶ。大学卒業後、サッカーを続けながら教師になることを目指しているという。身体能力の高さは相変わらずだ。

 47都道府県のうち、私がまだ訪れていない県は2つあって、それは福井と三重である。よって鈴鹿について知っていることといえば、かつて『鈴鹿ランポーレ』というクラブ名で活動していたこと、そして背中のスポンサーが『お嬢様聖水』となっていること。なんとも釣りっぽいネーミングだが、女性向けの植物発酵エナジードリンクなのだそうだ。

 試合が動いたのは後半21分。鈴鹿は藤田大道の左からのクロスが、いったんは相手DFにクリアされたものの、これを吉川拓也がダイレクトで決めて先制する。ラランジャもその2分後に磯部隼也が同点ゴールを挙げるも、36分に痛恨のPK献上。これを北野純也が冷静に決めて鈴鹿が2-1で初戦を突破した。ラランジャも最後まで奮闘したが、鈴鹿の順当勝ちと言える試合内容であった。

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