宇都宮徹壱ウェブマガジン

JFLと地域リーグは「物語」の宝庫である 著者自身が語る新著『サッカーおくのほそ道』

 11月17日、私の3年ぶり9作目となる新著『サッカーおくのほそ道』(カンゼン)が発売された。2016年の後半は、本書の執筆にかかりきりになっていたこともあり、完成品を手にとってみると感慨もひとしおである。なお、当WMの会員特典・先行予約していただいた皆さんには、謹んでサインを書かせていただき、すでに発送済みとのこと。ご予約いただいたWM会員の皆さんは、どうか楽しみにお待ちいただきたい。

 さて、本書『サッカーおくのほそ道』は、2008年から16年にかけて取材した、8年間にわたる国内サッカーの取材をベースとしている。そのテーマは「Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブというサブタイトルが示すとおり、JFLや地域リーグに所属するクラブが「Jリーグを目指す(あるいは目指さない)」理由について、ときに人物にフォーカスしたり、ときに地政学的にアプローチしたりしながら探ってゆく。

 本書を読み返して、あらためて思うことがある。それは、JFLと地域リーグは「物語」の宝庫である、ということだ。本稿では、本書に収められた15の章について、著者自身の想いや取材中の裏話などを紹介してゆく。書店で見つけたら、ぜひ手にとっていただければ幸いである。

第1章 Jリーグを目指さなかった理由

Honda FC―2008年・春

 本書の方向性を決定づけた作品。初出は2008年の『サッカー批評 issue38』である。『股旅フットボール』を上梓した08年、今後の国内サッカーの取材の方向性を模索していたときに「上を目指さないクラブにも目を向けていこう」ということで、最初にアプローチしたのが「JFLの門番」Honda FCだった。この当時、『サッカー批評』はまだ季刊で、取材や執筆にも今では考えられないくらい、時間と手間をかけることができた。結果、非常に重厚な仕上がりになっていると自負する。

第2章 幻の「石川FC構想」

ツエーゲン金沢&フェルヴォローザ石川・白山FC―2008年・春

『股旅フットボール』でも取り上げた、ツエーゲン金沢(当時、北信越1部)の後日談。今はなき『J’sサッカー』の16号に掲載されたレポートがベースとなっている。注目していただきたいのは、当時ツエーゲンとダービーの関係であったフェルヴォローザ石川・白山FCも同列で取り上げていること。地方都市で、2つの上を目指すクラブが共存することの難しさを描いた。

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