宇都宮徹壱ウェブマガジン

FC今治と全社枠3チームの激闘を振り返る WMフォトギャラリー(地域CL2016篇)<1/2>

 今週は、先週閉幕した地域CL(全国地域サッカーチャンピオンズリーグ)2016の模様を、フォトギャラリーとしてお届けすることにしたい。今大会は1次ラウンドが11月11日から13日、そして決勝ラウンドが11月25日から27日の日程で開催された。FC今治を追いかけていた私は、1次ラウンドは愛媛県西条市で、決勝ラウンドは千葉県市原市のゼットエーオリプリスタジアムで、それぞれ取材している。

 地域CLのレポートは、1次ラウンドも決勝ラウンドもスポーツナビにてコラムを掲載しているが、FC今治のメディアパートナーゆえに、どうしても「今治目線」で執筆しなければならない。もちろん、今大会で優勝した今治にニュースバリューがあったのは間違いないが、今治以外にも注目すべきチームがあったのもまた事実。ゆえに本稿では、今治の対戦相手についても可能な限り言及していきたいと思う。

【1次ラウンド1日目〜3日目@西条】

 今年こそのJFL昇格を目指す今治は、西条市のひうち陸上競技場で初戦を迎えることになった。今治市から西条市までは、車で1時間ほどの距離にあり、ほとんどホームと言ってよい(実際、多くの地元サポーターが駆けつけていた)。しかも初戦の相手は、この時点で「グループ最弱」と思われていた、ノルブリッツ北海道FC。「今治はかなり恵まれている」というのが、大会前の率直な印象であった。

 今治の先制ゴールが決まったのは、11分。相手DFの連携ミスを付いて長尾善公が左足で難なく決めた。長尾は32分にも右からのクロスを捉えて追加点。49分には、桑島良汰がヘディングで決めて3点目をゲットする。ここまではテンポよくゴールを重ねたものの、その後は打てども打てどもシュートが枠に飛ばない展開が続く。

 結局、後半は17本もシュートを放ちながら、決まったのは1本のみ。せっかく手にしたPKのチャンスも佐保昂兵衛が豪快に外してしまった。これには吉武博文監督も岡田武史CMO(チーム・メソッド・マネージャー)もおかんむり。とりわけ岡田CMOは、選手に緩みに危機感を抱いたようで珍しく雷を落としていた。初戦を勝利で飾ったものの、試合後はピリピリした空気がチーム内に横溢していた。

 第2試合は、全社(全国社会人サッカー選手権大会)3位のヴィアティン三重が登場。対戦相手のSRC広島は「元教員クラブ」という以外、ほとんど情報がなかったのだが、びっくりするくらい大会の準備ができていなかった。そんな相手に三重はまったく容赦しない。開始3分に寺尾俊祐のゴールで先制すると、その後も面白いように得点を重ねて6−0で圧勝した。

 三重の勢いは、大会2日目に入っても止まることはなかった。続く北海道戦では、19分に藤牧祥吾のヘディングゴールで先制。後半早々にPKで追い付かれるも、高田祥生(53分)、加倉広海(80分)が相次いで加点して北海道を突き放す。このチームのエースストライカーは間違いなく藤牧だが、ポジションに関係なくゴールを狙う姿勢が素晴らしい。初戦の6ゴールも、すべて異なる選手が挙げている。

 2強2弱の構図が明らかになった、このグループ。得失点差で三重に上回るべく、この日の今治は広島に対して怒涛のゴールラッシュを仕掛ける。開始2分で、右からのクロスに桑島が頭で合わせて先制。8分には中野圭が追加点、そして15分には長島滉大が得意のドリブルで持ち込んで3点目を挙げる。広島はなすすべなく今治の猛攻にさらされ、結局8失点を献上。これで今治はグループ首位に立った。

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