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FC今治と全社枠3チームの激闘を振り返る WMフォトギャラリー(地域CL2016篇)<2/2>

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【決勝ラウンド2日目@市原】

 2日目の第1試合のカードは三重対今治。両チームとも初戦に2−1で勝利しており、ここで連勝した方がJFL昇格の条件である2位以内に大きく前進することになる。三重としては、最終戦で今季一度も勝利していない鈴鹿と対戦する前に昇格を決めておきたいところ。一方の今治は、1次ラウンドのリベンジに燃えていた。今治のサポーターも、この日は気合の入ったビッグフラッグを掲げて運命の時を待つ。

 三重はボランチを1枚替えた以外は、1次ラウンドで対戦した時と同じメンバー。ワントップで存在感を放つ藤牧、2ゴールを挙げた岩崎、そして普段はボランチだが今治戦ではCBに起用された高田が顔をそろえる。対する今治は、先の対戦から5人を入れ替えてきた。それでも三重の海津監督いわく「佐保がスタメンでなかったのは予想外でしたが、上村と長島を使ってくるのは予想の範囲でした」。

 この日の今治は、藤牧に対して斉藤誠治を、そして岩崎には小野田をマーカーに付けて、相手のストロングポイントを消す戦術に出た。相手のやり方に左右されず「自分たちのサッカー」を貫いてきた吉武監督が、こうした策に出たのは驚きだった。それだけではない。今治は三重の右SB(田中優毅)が弱点と見て、そこをドリブルが得意な長島に執拗に攻めさせている。これまた、かなり意外な采配であった。

 そして31分、上村が放ったFKに中野がヘディングで合わせて、今治が先制する。「今治は空中戦に強くない」と見越していた三重にとり、この失点パターンは想定外だったようだ。しかし、さらに想定外のことが42分に起こる。右SBが長島のドリブルを押さえきれずに倒してしまい、2枚目のイエローカードで退場。これで試合の趨勢は決まった。

 ひとり少ない相手に対し、今治は容赦なくポゼッションを高めていった。そして50分、相手DFのクリアボールを桑島が拾って、左足で追加点を決める。対する三重は、セットプレーに活路を見出すしかないと思ったのか、長身DFでFWもできる太倉坐ドゥグラスをピッチに送り出した。しかし74分、ペナルティーエリア内でのハンドの判定からPKを取られ、これを中野に決められて万事休す。

 西条での屈辱の0−3から2週間。今治は同じスコアで三重にリベンジを果たし、勝ち点を6に積み上げてJFL昇格に大きく前進した。笑顔であいさつする選手たちを、今治から駆けつけたサポーターたちが拍手とチャントでねぎらう。今治の昇格が確定するのは、この後の第2試合の結果次第。まだ今治と対戦していない三菱水島が、90分で勝利しなければ今治の2位以内が決まる。

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