宇都宮徹壱ウェブマガジン

トランプとFIFAが衝突する日 前代未聞の大統領令はワールドカップ予選に影を落とすか?

 トランプ、トランプ、トランプ、トランプ……。この1週間、何度この名前を耳目にしただろうか。このところ自宅で執筆する日が続いているのだが、TVやネットを通じて報じられる「トランプ大統領就任後」のアメリカが気になって仕方がない。かの国のことがこれほど気になるのは、2001年の同時多発テロ以来のことだ。今まさに私たちは、歴史的な重要な瞬間に立ち会っている。そのことを強く意識せざるを得ない、今日この頃だ。

 イスラム圏7カ国の入国を禁止する、前代未聞の大統領令については、アメリカ国民の49%が賛成、41%が反対という調査結果が出た(参照)。あらためて浮き彫りとなった、アメリカ国内の分断。世界中が息をひそめてことの成り行きを見守る中、いずれトランプの攻撃の矛先が、グローバリズムの象徴とも言えるFIFAにも向けられるのではないか──。最近、そんなことを考えている。

 先の大統領令のサッカー界への影響は、今のところまだ聞こえてこない。しかしながら、いずれ遠からずFIFAは、この問題と真正面から向き合うことになる可能性は十分に考えられる。ワールドカップには大陸間予選があるからだ。アメリカが組み込まれている北中米カリブ海予選の4位チームは、中東勢がひしめくアジア予選の5位チームとプレーオフを戦うことになっている。

 仮にアメリカがプレーオフに回った場合、その対戦相手が入国禁止になっている国々(イラン、イラク、シリア)と対戦する可能性がある。とはいえ、アメリカといえばメキシコと並ぶ、北中米カリブ海における大国。さすがにその可能性は低いだろうと思いながら順位表を確認すると、なんと! アメリカはトリニダード・トバゴと並んで勝ち点ゼロ、得失点差でグループ最下位となっていた。

(残り 1788文字/全文: 2517文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ