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【無料記事】「3065人」をどこまで喜ぶべきか? 今日の現場から(2017年3月12日@ひうち)

 J3が開幕した日曜日はJFLを取材。カードはファーストステージ第2節、FC今治対Honda FCである。この試合については、今週火曜日にスポーツナビにてコラムをアップする予定なので、今回はピッチ外の話題を短めにお伝えすることにしたい。

 今治にとっては、JFL昇格後初となるホームゲーム。個人的に心配していたのは、新参者が門番にシメられることではなく、この日の集客であった。会場は今治市から車で1時間ほどの距離にある、西条市のひうち陸上競技場。同日、J2ではカマタマーレ讃岐対愛媛FCの四国ダービーがあり、また地元では全国のB級グルメやゆるキャラが集結する今治ABC(えびす)祭2017が開催されることになっていた。

 加えて今治にとっては、今回が初の有料試合。四国リーグ時代は無料で観ることができたホームゲームが、今年から入場料1000円を支払わなければならない。「今治の人間は倹約家が多いので、高いと感じるかもしれませんね」と、地元のサポーターも心配する。ところがフタを開けてみると、この日の入場者数は過去最多の3065人。岡田武史オーナーも「集客も運営もドタバタしていたんだけど、何とか3000人以上のお客さんがきてくれたので少しほっとしている」と安堵感を滲ませていた。

 もっとも3065人全員が、今治の応援に駆けつけたわけではないことは留意すべきである。というのも、この日のスペシャルゲストである、GENERATIONS from EXILE TRIBEの3人(白濱亜嵐、関口メンディー、片寄涼太)を目当てにやって来たファンが、かなり含まれていたからだ。正確な数は不明だが、現場の実感レベルでは3割くらいはいたように思う。間違いなく言えるのは、彼らがピッチ上に登場した時の黄色い声援は、サポーターのコールよりも若干上回っていた。

 GENERATIONSのファンが、これを契機にサッカーの面白さに目覚めてくれたら、それはそれで嬉しいことだ。だが、試合がスコアレスドローに終わったことを考えると、あまり多くを期待すべきではないようにも思う。もちろん、有料試合になっても引き続き応援したいファンも一定数いるだろう。そこで気になるのが、次回のホームゲーム。3月26日のラインメール青森戦は、広島県立びんご運動公園陸上競技場で行われる。果たして3065人のうち、どれだけの観客が再び観戦に訪れてくれるだろうか。

<この稿、了>

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