宇都宮徹壱ウェブマガジン

三浦知良フォトブック『BOA SORTE KAZU』ができるまで 岩本義弘(プロデューサー)&中林良輔(編集)インタビュー<2/2>

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■『ゴッドファーザー』のTシャツで盛り上がる

――写真とテキスト、すべての素材がそろったタイミングはいつだったんですか?

中林 そこは本当に入稿ギリギリ直前でしたね。

岩本 なぜかというと、最後になってマネージャーさんも本気になったんですよ(笑)。

中林 「こんなのもあります!」という感じで、どんどんいろんな写真を持ってきてくださって。カズさんの昔のアルバムとか(p.140145)、サントス時代の選手証とか(p.161)。

岩本 あと携帯で撮影した家族写真もありましたよね(p.170)。意外とクリアで。

――プロが撮った作品がある一方で、携帯やレンズ付きフィルムで撮ったものもあったりして、全体として深みのあるフォトブックになっていますね。それにしても、作り手の本気度と完成度が鮮明になるにつれて、マネジメント側も「一緒にやっていこう」という感じになっていったというのは、編集者冥利に尽きるのでは?

中林 アルバムを3冊受け取った頃には、こちらも相当楽しくなっちゃいましたね(笑)。逆にどの写真を削るか、悩ましくなって。

岩本 ハーブ・リッツ(著名なファッション・フォトグラファー)が撮影した写真を使おうということで、マネージャーさん自らが前のめりで交渉してくれましたし。すでに亡くなっている方でしたので、管理会社にある程度のお金を払って掲載できることになりました(p.175)。

中林 ただ、自分自身はずっとサッカーファンをやってきた中で、この本はサッカーファン以外の方々にも買っていただきたいという思いもあったので、そこの部分でのチョイスはちょっと大変でした。でも結果として、より幅広い年齢層、特に若い女性の方にも買っていただけたのは良かったと思っています。

――中林さんは1回だけ、カズさんとミーティングをされたそうですが、それはどのタイミングだったんですか?

中林 販促のタイミングですね。日付でいうと2月20日。仕上がった本をお渡しして、サインを書いていただきました。「いい本ができたね」という言葉を何度もいただいたので、すごく有難かったですね。しかもすごく気さくに話しかけていただいて。サインを書いていただく時は、少しファン気分で「カッコいいなあ」と(笑)。

――すべてが報われた瞬間ですね。

岩本 普通じゃないスケジュールでやってもらいましたからね。あと、中林さんが着ていた『ゴッドファーザー』のTシャツについて、いじられていましたよね(笑)。「俺もそれ、持っている!」って。

――そうか、どちらも『ゴッドファーザー』大好きですもんね!

岩本 実は僕、カズさんに『ゴッドファーザー』について15分以上語ってもらって、結局お蔵入りになった原稿があったんですけど、とうとう見つからなくて。できれば、そのインタビューも本の中に入れ込みたかったので、そこは少し心残りです。

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