宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料記事】画質の向上は? 電話でのサポートは? プレステは? DAZNの「中の人」にじっくり話を聞いてきた!<2/2>

■Jリーグの中継フォーマットを統一した理由

――現在、シンガポールタイといった国外に住んでいる方から「DAZNでJリーグが見られないので何とかしてほしい」というご意見をいただいています。これについてはいかがでしょうか?(宇都宮)

中野 そういったお声をこちらもいただいております。「出張中に見たい」ですとか。ただしDAZN自体が現在、日本とドイツ語圏(ドイツ、オーストリア、スイス)でしかサービスを提供しておりません。もちろん、他の地域でも随時展開していく予定ではありますが、スポーツの放映権自体、地域ごとに放映権を獲得しなくてはいけないものですので、今われわれが日本のDAZNで放映しているものは、あくまでも日本でしか放映できない、という放映権です。ちなみにブンデスリーガは、日本では全試合やっていますけども、ドイツでの権利はSKYさんが権利を持っているので、ドイツのDAZNはハイライトのみ放映しています。

――なるほど。どんどん行きましょう。今回、リクエストを集めてみてあらためて感じるのは、サッカーファンの好みが非常に多様化していて集約するのが難しいということです。たとえば「実況も解説もなしで現場音だけで中継してほしい」という意見もあれば、「もっとヨーロッパみたいな討論番組をやってほしい」という意見もあったりします。この中で、すぐに検討に入れそうなものはありますか?(宇都宮)

中野 本当に貴重なお声をいただいて、開発のほうでも参考にさせていただきたいと思います。現在、多重言語多重音声に対応する開発を検討しておりますが、逆に「実況解説なし」というコンセプトはなかったので非常に面白い発想だなと。Jリーグでも今季から現場でのマイクの数を増やしていて、選手が発する声もできるだけ拾おうと思っていますので、そういった音声を活かすことができたら、実況解説なしというのもアリかもしれないです。

――実験的にやってみたらいいと思いますよ。(宇都宮)

中野 面白いでしょうね。ただし多重音声ができたあかつきには、放映権の縛りもあるんですよ。「日本語実況解説を付けなければならない」というような放映権も多々あるので、そことの兼ね合いはあります。ですので、全試合ではなくても、そういった対応もできればいいかなという話はしています。それからアプリの改善については、TV仕様とPC仕様とタブレット仕様が基本的に同じになっているのですが、今後はそれぞれのデバイスに合ったものを開発するように動いております。

――「中継映像の始まり方と終わり方がどの試合も一緒なのはなぜか」というご意見もありましたが。(宇都宮)

中野 今年からの試みのひとつとして、どのスタジアムも同じランニングオーダー、つまり同じ映像から始まって、同じ角度で同じ順番で放送を作りましょうと。これは先日のDAZNオフィスツアーの際にもご説明しましたが、これからはJリーグの中継映像を統一するためのフォーマット化していくという方向になっています。

――おっしゃっていましたね。「Jリーグのブランド価値を高める」というのが、その理由でした。(宇都宮)

中野 そうです。世界に出していく時に各スタジアム全部順番がバラバラだと非常に放映権って売りづらい、買いづらいものだったりするんです。たとえば弊社がNBAの放映権を獲得した時に、どの試合も映像の順番が決まっているので、実況解説の方々もそれに合わせて解説を付けることができます。Jリーグですと、まずはスタジアムの引きから入って、次に選手のラインナップが入って、それから監督インタビューが入って──。そういうオーダーが決まっていると、海外の実況解説を付ける時でも非常にスムーズにできるわけですね。そこはJリーグさんともお話した上で、統一しましょうということになったのですが、そこに違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。

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