宇都宮徹壱ウェブマガジン

いわきFCの大倉智社長をWMイベントに招く理由 天皇杯快進撃の要因とクラブが目指す「改革」とは?

 今月19日からスタートしたロシアでのコンフェデレーションズカップ取材は、今のところ順調に進んでいる。この原稿を書いているのは、モスクワからカザンに移動するべく、ドモジェドヴォ空港に向かう列車の中で書いている。天候は雨、気温は9度でかなり肌寒い。ロシアの6月は想像していたよりも気温が低くなるので、来年のワールドカップでは注意が必要だろう。現地の模様については、来週からスタートするWMフォトギャラリーにてレポートを掲載するので、楽しみにお待ちいただきたい。

 さて、モスクワでロシア対ポルトガルの試合が行われていた21日、日本では天皇杯2回戦が行われた。あちこちで番狂わせがあったようで、現場に立ち会えなかったことが少し残念に思えてしまうほどであった。ざっと目についたところでは、AC長野パルセイロがFC東京に1−1からPK戦の末に勝利。この他にも、筑波大学がベガルタ仙台に3−2、アスルクラロ沼津が京都サンガF.C.に1−0、ヴァンラーレ八戸がヴァンフォーレ甲府に1−0で勝利して、見事に3回戦進出を果たしている。

 そんな中、最も話題を集めたのが、福島県1部のいわきFCが、J1の北海道コンサドーレ札幌に延長戦の末、5−2で勝利したゲームであろう。トップリーグから数えて、6つ下の都道府県代表のアマチュアがJ1クラブを倒した例というものは、ちょっと記憶にない。その意味では確かに「ジャイアント・キリング」ではある。しかし一方で私は、それほど意外なこととも思っていない。実際、1回戦での彼らの戦いを受けて、私はスポナビのコラムに「いわきが規格外の県1部チームである事実に変わりはなく、今大会で旋風を巻き起こす可能性は十分に考えられる」と書いている。(参照)

 この2回戦についても、いわきがJ1クラブに勝利する可能性は5割くらいはあると考えていた。それは決して札幌の実力を低く評価していたからではなく、いわき絡みの試合は「カテゴリーを度外視して考える必要がある」と常々感じていたからだ。そしてさらに付け加えるならば、7月6日の「宇都宮徹壱WM創刊1周年記念イベント」に、いわきFCの大倉智社長をゲストに招くことについても、今回の結果を密かに期待している部分があった。天皇杯の「ジャイアント・キリング」には、実は必然性があった──今回のイベントでは、その点について大倉社長にたっぷり語ってもらおうと思っている。

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