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アジア5位決定戦が日韓戦にならないために 慎武宏(ライター/S-KOREA編集長)インタビュー<2/2>

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■日韓戦は「どちらが勝っても茨の道になる」?

――さて、新しい監督で仕切り直そうとした韓国なんですけど、ワールドカップ予選で楽観できないのは日本もまったく同じです。良くも悪くも韓国は日本を意識しているわけですが、今予選の日本について韓国ではどんな見方をされているんでしょうか?

 韓国に先々週も行ってきましたけど、「日本も危ない」みたいな論調はあまり聞かれなかったですね。グループAは、イランがすでに予選突破を決めていて、2位の韓国と3位のウズベキスタンは1ポイント差。非常に予断を許さない状況です。でも日本は、いちおうグループBの首位でしたよね?

――そうなんですけど、サウジアラビアとオーストラリアとそれぞれ1ポイント差ですから、逆転される可能性は十分ありますよ。しかも両チームとの直接対決を残しているし。

 それでも韓国のメディアは「日本は全然大丈夫でしょう」って論調でしたよ。「なんだかんだで、最終的に勝つでしょう」というような見解でしたね。

――それって要するに、日本のことを気にする余裕がないくらい、今の韓国は切羽詰まっているということなんでしょうか。

 そうですね。8月31日に近くなれば「韓国と日本は背水の陣」みたいな記事が出て来ると思うんですけど、危機感の度合いは韓国の比ではないと思いますよ。まずホームのイラン戦。このところ韓国は、ホームでもイランには勝てていなくて、引き分けが精いっぱい。裏の試合でウズベキスタンがアウエーで中国と対戦して、ここで中国が勝てばかなり有利になるんですけど。さらに次が、アウエーのウズベキスタン戦ですし。

――そのウズベキスタンと対戦する中国は、今はグループ最下位ですけど残り2試合で2勝すれば勝ち点12で3位に浮上する可能性を残していますよね。彼らの頑張りが韓国に有利に働くかもしれないわけですが、今予選の韓国ってすでに3敗しているんですね。最終予選突破のボーダーラインって、やはり2敗までだと思うんです。日本が苦しんでいるのも、初戦でUAEに敗れてしまったことに起因しているわけですが。

 日本はホームでオーストラリア、アウエーでサウジですか?

――そうです。オーストラリアといえば、この間のコンフェデで対チリを観ましたけど、彼らは南米チャンピオンに対して一歩も引かない堂々とした戦いを見せていましたからね。あれを見てしまうと、ちょっと心配になります。

 日本のメディアの方たちは、ハリルさんの否定派が多いんですか?

――否定派は増えた印象です。6月のイラクとのアウエー戦(イランで開催)で、あえてセンターラインの顔ぶれを変えて臨んだんですが、結果として引き分けに終わってしまったのが大きかったですね。まあ、あくまでも結果論ですけど。

 最悪、日本と韓国がグループ3位に終わって、5位決定戦で当たる可能性も否定できないわけですよね。現状だと。

――それだけは絶対に避けたいところなんですが(苦笑)。韓国では、そういった展開について、すでに語られているんでしょうか?

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