「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【レビュー】栃木SC 栃木トヨタカップ 第22回栃木県サッカー選手権大会決勝 2年連続の県予選敗退という失態。結果責任は監督にあり。

栃木トヨタカップ 第22回栃木県サッカー選手権大会決勝
2017年4月9日13時キックオフ 栃木県グリーンスタジアム
入場者数 929人
天候 雨天、無風
気温 15.4℃
湿度 74%
ピッチ 全面良芝、水含み

栃木SC 0-1 栃木ウーヴァFC
(前半0-1、後半0-0)
得点者:41分 福田周平(栃木ウーヴァ)

<スターティングメンバー>

◆栃木SC
1 GK 竹重 安希彦
4 DF 広瀬 健太
5 DF 尾本 敬
17 DF 福岡 将太
38 MF 宮崎 泰右
2 MF 西澤 代志也
16 MF 仙石 廉
26 MF 夛田 凌輔
11 FW 岡﨑 建哉
13 FW 上形 洋介
14 FW 西谷 和希

控えメンバー
23 GK 川田 修平
7 DF 菅 和範
28 MF 安藤 由翔
10 MF 杉本 真
8 FW 廣瀬 浩二
9 FW 竹中 公基
19 FW 服部 康平
監督 横山 雄次

45分 宮崎→竹中
45分 岡崎→安藤
76分 西澤→杉本
76分 上形→廣瀬

(上記写真はすべて永島一顕)

 

酷い前半の代償が大きすぎた試合

 

栃木県のサッカー関係者が集うなかで、また栃木SCが負けた。またも栃木県の王者になれなかった。

「栃木SCはJ3のチームだからねえ。今はこんなもんなんだろうね」

記者席に座っておられた、栃木のサッカー関係者と思われる方々から聞こえてきた声だ。寂しい限りである。

 

ウーヴァの選手たちは本当によく戦っていた。ソリッドな守備組織を90分間持続させていた。引き過ぎず、できるだけ高い位置からボールを奪いに行く。攻撃はトップの若林学をターゲットに放り込み、セカンドボールを狙う。チームでやるべきをシンプルに統一し、集中した守備を見せながら、狙い通りの形からゴールを奪って逃げ切った。大会5連覇、おめでとうございます。本大会もこの日の戦いぶりでぜひ頑張ってください。本大会一回戦、山形県代表のFCパラフレンチ米沢との対戦は今月22日、栃木県グリーンスタジアムで13時キックオフ。

 

ウーヴァはこの日、シーズンが始まってからようやく見つかったというユニフォームスポンサーの株式会社深井製作所の『FUKAI』のロゴを胸に入れたユニフォームで戦った。クラブの窮状に手を差し伸べてくれた新たな支援に、そして応援に駆け付けたファン・サポーターのために、選手たちは感謝しながらプライドを懸けて頂点を目指したのではないだろうか。

 

対する栃木SCのユニフォームにはウーヴァに比べれば贅沢なくらいに無数のスポンサーが付いている。栃木のJリーグチームとしての証である。が、それは決して当たりまえのものではない。今季はクラブスタッフのスポンサー営業も、昨年J2昇格に失敗したJ3の2年目、だからだろう、非常にシビアな状況が続いていると聞く。今回、栃木SCがまたも栃木の王者になれなかったことに、今季も継続支援をしてくださった方々、あるいは、支援を検討していただいている地域の方々は何を思うだろうか。

 

僕は、栃木SCを取材し始めて今季で13年目を迎えるが、この日の帰り道の車中、やるせなさが募っているなかで、13年目にして初めて栃木SCへの気持ちがやや途切れ欠けるのをわずかに感じた。自分でも信じられなかった。この原稿は日付が変わって書いているのでもういつもどおりだし、こんなことで自分もまだまだ甘ちゃんだなあと思ったりしているのだが、この日グリスタに足を運んだ方やテレビを通じて試合を観戦した方のなかにも、僕と同じような感情が芽生えた方もいたのではないだろうか。こんなんじゃみんな離れていっちゃうよ! である。

 

以下、詳述するが、この敗戦は、監督に大きく責任があるように思う。 

選手たちはそれぞれに力を出していたと思う。グリスタの芝のコンディションは雨天のなかで劣悪なものだったが、四苦八苦しながらも力を出そうとしていたと感じる。

確かに前半はよくなかった。パスミスは多かったし、連携がどうこう言えるシーンは数少なかった。リーグ戦で出場機会に恵まれず、しかしこの日、新たに前線で起用された上形洋介しかり、岡崎建哉しかり、自分の持ち味を出そうとする姿勢は見えた。パスがもう一本通らないのは、初めて公式戦で顔を並べる選手同士の連携不足に、劣悪なピッチコンディションが重なり、状況を苦しくさせていた側面はあると思う。

(残り 3284文字/全文: 5133文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ