「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【OB探訪】栃木SCのJ2昇格メンバーである小林成光が凱旋帰郷、作新学院大学サッカー部やユニオンSCで目指すもの。

小林成光(こばやし・まさみつ)1978年4月13日生まれ、栃木県佐野市出身。佐野日大高校時代は3年連続で国体代表に選出。卒業後に東京ガス(現FC東京)に入社。02年からプロ契約。矢板市出身の原博実監督(現Jリーグ副チェアマン)の下、スキルフルなウィンガーとして活躍した。しかしその後オートバイ事故で戦線を離脱。復帰後は鳥栖を経て、07年に当時JFLの栃木SCに加入し、08年のJ2昇格に貢献した。同年オフに引退し、その後FC東京のアカデミーの指導者として8年間ジュニアからユースまであらゆるカテゴリーで育成年代の指導を経験。今年から故郷に凱旋し、2月から作新学院大学サッカー部コーチに、4月からユニオンSC監督に就任した。

 

2008年の昇格メンバー、小林成光が栃木に凱旋

 

小林成光が栃木に帰ってきた。

2008年、栃木SCをJ2に昇格させたメンバーの一人。足にボールが吸い付くような特徴あるドリブルで相手DFを手玉にとり、グリスタの観衆を沸かせた選手だった。栃木県佐野市出身、佐野日大高校サッカー部のレジェンドでもある。

 

小林成光は2008年に栃木SCのJ2昇格というミッションを成し遂げると、そのシーズン限りで現役を引退、その後現役時代を長くプレーしたFC東京のアカデミーの指導者として第二のキャリアを歩んでいた。

 

僕は、小林成光がFC東京の育成畑で長く指導していたころ、このままFC東京でずっと安泰なんだろうな、と勝手に思っていた。いつか栃木に戻ってきてくれないだろうか、と思ったものだが、望みは薄そうだと半ばあきらめていた。

ところが、その小林成光が、今年から作新学院大学に関わるサッカーの指導者として新たな一歩を踏み出したと聞いて驚いた。

 

小林成光は何を思って栃木に戻り、この先に何を見ているのだろう。

 

4月下旬、平日の午前。

清原工業団地を抜けた先にある作新学院大学のキャンパスを訪ねると、同大学サッカー部スカウティング担当の入江利和氏(元栃木SC)がインタビューをする部屋へ案内してくれた。

 

すぐに小林成光は姿を現した。いかにも日頃からボールを蹴って動いていそうな軽々としたジャージ姿で、現役時代と変わらぬ体型であった。

聞けばインタビュー前、すでに大学生たちを指導してきたのだという。このインタビューを終えれば、昼食を済ませたあと、子どもたちの指導が待っているそうだ。現在は週に一回、母校の佐野日大高校サッカー部のコーチもこなしているという。

 

小林成光は故郷の栃木で、すでにサッカー指導漬けの毎日を過ごしていた。

 

なぜ、栃木に戻ってきたのだろうか――。

率直な疑問をぶつけると、小林成光は「ずっとFC東京にいれば何も問題はなかったと思うんですけどね」といって笑い、そして落ち着いた口調で語り出した

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