【島崎英純】2016AFCアジア・チャンピオンズリーグ・グループステージ第5節・シドニーFC戦レビュー

07年以来のシドニーでの戦いを阿部が振り返る

多湿だが、気温は快適。南半球の抜けるような青空に心躍るが、今回は大事なタイトルマッチの舞台である。浦和レッズはAFCアジア・チャンピオンズリーグ(以下、ACL)・グループリーグHで首位に付けるシドニーFCのホーム、オーストラリア・シドニーで決勝トーナメント進出を懸けた大事なゲームに臨んだ。

試合前日に同グループの4位・広州恒大が3位・浦項スティーラーズに勝利していたため、シドニーFCはすでに決勝トーナメントへの進出を決め、浦和は今試合引き分け以上で突破が決まるシチュエーションだった。両チームは当然事前情報を把握してゲームプランニングしていたはずで、試合の入りがどんなアクションになるのかが注目された。

浦和は過去にシドニーFCのホームであるシドニーフットボールスタジアムで戦ったことがある。2007シーズンのACLグループリーグ第2節で、このゲームは浦和にとって初の海外公式戦だった。だが、現チームでこのゲームへ出場した経験のある選手は、もう阿部勇樹と平川忠亮しかいない。今回の遠征では平川が外れていたため、この地で2度目のゲームを戦うのは阿部ひとりだった。雑談程度だが、当時のゲームの印象について阿部に聞いてみた。

「よく覚えているよ。ACLで優勝したシーズン。スタジアムの雰囲気? どうだったかなぁ? 試合開始2分で失点したことは覚えているんだけど、コーチングの声が届かなかったかどうかは分からない。ヨーロッパっぽい雰囲気? それも覚えてない(笑)。でも、状況がいつもと違っても落ち着いて、やるべきことをやれば。自分たちの戦い方を見失わないでね」

達観した表情のキャプテンに焦りは微塵も感じられなかった。荒れたピッチの対応策も承知済み。試合当日、ピッチへ入場してきた彼の佇まいにも平静さが漂っていた。初々しさを感じさせた2007年当時と比べて、阿部に関しては間違いなくスケールが変わっていると感じた。

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