日々雑感—阿部勇樹—あの時の決意　レスター優勝に寄せて

2016年05月03日 10時38分　
カテゴリ：コラム • レスター・シティ • 島崎英純 • 日々雑感 • 阿部勇樹
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文・写真●島崎英純

Text&Photo by Hidezumi SHIMAZAKI

レスターへ

オールド・トラフォードで、ポール・スコールズの現役復帰後初ゴールを観ていた。ボルトン・ワンダラーズを引き立て役に、マンチェスター・ユナイテッドが３−０で快勝したゲームだ。狂喜乱舞するユナイテッドサポーターを横目に帰路に着くと、彼からメールが入った。

「レスターへ来ない？」

翌日、列車に乗ってレスターへ向かった。レスター駅に降り立ち、隣接するイビスホテル（ibis hotels）にチェックインする。ヨーロッパでも有名なイビスホテルはどんな場所でも室内構造が同じで、客室に冷蔵庫がない。だからキンキンに冷えたピルスナービールは置けず、常温でも美味しいエールビールを常備するしかない。

レスターはイングランド・レスターシャー州の単一自治体で、古代ローマ時代に栄えた由緒正しき街だ。イングランド中部に位置することから冬場は当然極寒だが、豪雪にはならず、深々と粉雪が降る。街の中心部は小振りだが、名門レスター大学がある関係で学生が多く、それなりに活気がある。またこの街はインドや中国からの移民者も多く、多国籍感が漂う。ブリティッシュフードのハギスやフィッシュアンドチップスが苦手でも、レスターには美味しい中華料理屋やインド料理屋が軒を連ねる。インド料理屋は宗教上の都合で酒類を提供してくれないが、自分でビールを持ち込んで飲む分には咎めを受けない。このレスター情報は全部、彼が教えてくれた。