苦境からのリカバリーも浦和、PKで屈する【島崎英純】2016ACLラウンド16第2戦・FCソウル戦レビュー
劣勢を強いられた前半
やはりアウェーの雰囲気に飲み込まれてしまった。槙野智章は「広州や浦項、オーストラリア(シドニー)に比べて、自分たちのペースでできた部分もある」と語ったが、浦和の前半のプレーパフォーマンスは低く、FCソウルのスピード&パワーに圧倒された感は否めない。
浦和の布陣は3─4─2─1で、埼玉スタジアムでの第1戦と同じメンバーがピッチに立った。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の考える現状のベストメンバーで、この采配からアウェーでも、いわゆる『自分たちのサッカー』を貫く覚悟が読み取れた。
しかし浦和は試合開始から劣勢に陥った。最初はベンチから戦況を見守っていた梅崎司にチームの状況と、事前に話し合われたゲームプランニングについて聞いてみた。
「決して様子見することなく、最初から仕掛けて得点を狙っていこうと言い合っていました。だから前半に押し込まれたのは戦略ではなく、やはり相手に勢いがあったのだと思います」
FCソウルの2トップ、デヤン・ダムヤノビッチとアドリアーノは第1戦の時とは比べ物にならないほど動きが鋭かった。ダムヤノビッチは空中戦とボールキープ力、フィニッシュシーンに入り込む動作に長けるストライカーで、アドリアーノは俊敏でフィジカルコンタクトにも強いシャドーアタッカーである。
このふたりに対して、浦和はリベロの遠藤航と左ストッパーの槙野智章がお互いに受け渡してマークする約束事があった。これは第1戦と同様で破綻はなかった。しかし、それでも相手のアプローチ強度は第1戦の比ではなく、浦和が自陣でボールキープすると2トップと2シャドーの高萩洋次郎、ユン・イルロクが連動して激しくプレス&チェイスし、浦和のビルドアップを寸断しようと目論んでいた。浦和はこのプレッシャーに難儀して敵陣へボールを運べず、チームバランスを崩して苦境に立った。普段ほとんどボールロストしないキャプテンの阿部勇樹がボールを刈り取られる姿からも、その苦戦の度合いが窺い知れる。
FCソウルの崔龍洙監督が採用するシステムは3バック、アンカー、両翼、2シャドー、2トップの各ユニットが有機的に融合する3─1─4─2だった。だが崔監督は浦和の指揮官とは異なり、第1戦の結果を踏まえて選手起用を代えていた。
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