【無料掲載】2016明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ決勝・鹿島アントラーズ戦[ミハイロ・ペトロヴィッチ][監督コメント]

○ミハイロ・ペトロヴィッチ監督
非常に強い2チームの対戦なので非常に厳しいゲームになるのはわかっていた。我々にとっては日程的にも難しい試合だった。11月3日のリーグ最終戦を終えてから、29日まで約1カ月弱くらい空いた中での今日のファイナルで、我々としては3日の後の1週間後くらいにすぐに試合ができれば理想的だった。日程的には難しかったファーストレグだった。

11月12日に天皇杯で川崎と戦った後、今日まで17日間あったが、その期間に練習試合の相手も探した。しかし、残念ながら、ほとんどのチームが休みに入っていて、大学生としか練習試合を組むことができない状況だった。やはり選手たちは長いシーズンで緊張感とプレッシャーの中で戦ってきた影響からか、気持ちも肉体もゼロに近い状態だったと思う。22年間、監督の仕事をしているが、こういったルール、スケジュールで仕事をするのは過去に経験がない。どういう風にチームを持っていったらいいのか、私自身も手探りの中での仕事だった。どういう言葉で、どういう練習で選手を鼓舞すれば、緊張感を持ってこの試合に臨むのか、非常に難しい中での準備だった。

鹿島は1週間ほど前に準決勝があった、そういう意味では今日のゲームに入るにあたって、試合感、緊張感は相手の方があったかなと思っていた。しかし今日は選手たちは立ち上がりから集中力と規律を持って戦ってくれたと思うし、特に相手の攻撃の部分ではあまりチャンスらしいチャンスを与えることはなかったと思う。相手の攻撃をコントロールしていた。ただ、我々の攻撃の方がうまくいっていなかったかなという印象を受ける。

相手のペナルティエリア付近まではいい形でボールを運べるが、その後のコンビネーションの質、フィニッシュの質、ラストパスの精度、そういったものが今日のゲームになかったと思う。ただ、今日のゲーム、我々は1−0で勝利できたということ、それは前向きに捉えていいと思う。今日の試合を終えた上で、我々はもう一度緊張感のある試合に臨めた。それを受けて第2戦を迎えられる。選手たちはもう少し落ち着いてゲームができると思うし、攻撃の部分でも我々の良さであるボールの運び方、コンビネーションを見せられると思う。

74ポイントを取ったチームとして、今シーズン最も安定した戦いを見せてきたと自負している。第2戦も自分たちの戦ってきたサッカーで自信を持って戦いたいと思っているし、我々が勝ち取ってきたポイントが間違いなくチャンピオンに相応しい、そういうものだと証明したい。

最終的にはサッカーは結果でしか見られないスポーツだと思うが、そういう中でも一サッカーファンとしての私は結果だけを求めない。監督としては違う、私は客観的にサッカーを見る。準決勝の川崎vs鹿島のゲーム、私は川崎の方ベターなチームと思うが、勝利したのは鹿島だった。わたし自身はその結果をもって報道を読むと、やはり勝利した側により寄った記事が描かれる、そこに違和感を覚える。やはり、あの試合、川崎は3、4回チャンスがあった。鹿島はよく戦ったと思うが、川崎が内容的にベターなチームだったことは間違いない。

勝利したのは鹿島だが、もっとニュートラルな試合の見方、評価が日本のメディアの中であっていいと思うし、特にサッカー専門的に見ている記者ももう少し客観的な記事、結果だけを追わない、そういう評価をされた方がいいと思う。

ただ、鹿島は非常に強い。鹿島のポテンシャルは川崎と戦った時よりも、我々と戦ったよりもさらに強さがあると思っている。だから、2戦目は彼らの強さに気をつけないといけない。彼らは非常に強いチームだった。だからこそ勝ち上がってきたが、彼らの強さは追い込まれた時に発揮されるあろう。第2戦、我々は今日よりも気を引き締め、緊張感を持って戦わないといけない。なぜなら、鹿島は強いチームだからだ。4日後の決勝第2戦、いい準備をして、強い気持ちで臨まないといけない。鹿島は常に、逆境で強さを発揮し、サプライズを起こせるチームだ。

今日の1-0という結果をもって、我々が優位であると思ってしまうことが大きな間違いだ。今日のゲームを見ても、我々は決していい戦いをして勝ったわけではない。どちらかと言えば、自分たち本来の力を出せていないゲームだった。非常にいい準備をして試合に臨まなければ、我々の求める結果を得ることはできない。

Q 今日の攻撃のリズムでは4日後の試合も非常に難しくなると思うが、中3日のトレーニングで上げていく自信は?
我々は常に攻撃的なサッカーをしてきたチームなので、私自身は短い中でも十分に攻撃の修正はできると思っている。今日の試合でなぜ本来の攻撃の形を出せなかったかと言えば、やはり公式戦が長く空いてしまったのが大きな理由の一つとして挙げられる。リーグが終わって1カ月弱後にファイナルを戦うというのは、世界中のどこの国のリーグを見てもない。

その意味で、我々がどういう風にその期間で準備してファイナルに臨むのかは、非常に未知数で、難しい中で準備してきた。そういう中で、今日戦ったわけだが、次の試合に向けては今日のゲームをもって修正はできるのではないかと思っている。

このチャンピオンシップのルールだが、アドバンテージがあるのは2位であった川崎だったかなと感じている。1試合のゲームで、ホームで引き分けでも勝ち上がれるというアドバンテージがあったと思う。2試合で戦う決勝では、我々にアドバンテージがあるとは思っていない。

2試合の結果がいずれも同じスコアの引き分けで終わるのは、おそらく5パーセントくらいの確率だと思う。そのことを考えれば、我々が1位だからと言って、アドバンテージを持って戦っているとは思っていない。

昨年はガンバと90分の試合では引き分けで終わったが、昨年はこうしたルールがなかったという意味では、我々は昨年、残念ながら被害者的な、そういう意味では恵まれなかった結果で終わった。今年のルールが適用されていれば、我々は昨年、広島とファイナルで戦っていた。そういう意味で、昨年の我々は非常に不運だったと思う。

Jリーグも手探りの中でルールを変更して、実行してきたと思う。2年やって、また変わるが、それがどうであったのかはしっかりと検証すべきだと思う。それを決定した人物はそれがどうであったのかを公の場でどうだったのか話すべきだと思う。私は日本サッカーがより前進してほしいと願う、サッカーに携わる人間の1人だ。日本のサッカー、代表監督が何人も変わっているが、誰がそれを決めて、誰が日本のサッカーをどういう方向にもっていこうとしているのか、その責任の所在をはっきりしていくのが重要だと思う。それは見ているメディアのみなさまが鋭い目で指摘していくことが重要だと思う。

もう十分ですかね(笑)。

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