浦和復帰記念特別寄稿コラムー矢島慎也『その覚悟』

埼玉県浦和市(現・さいたま市)出身の矢島慎也は、北浦和SSSを経て浦和レッズジュニアユース、ユースと順調にステップアップを果たし、高校3年生時には2種登録でトップチームにも名を連ねた。2012シーズンからは正式にプロの一員としてレッズに加わった彼は輝ける未来に思いを馳せたが、ここから苦難の道程が続く。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督体制の中で実力を発揮できず、2015シーズンにJ2・ファジアーノ岡山へのレンタル移籍を決断。その後の彼の活躍は周知の通り。先ごろ開催されたリオ・オリンピックではU-23日本代表の一員として背番号10を背負い奮闘し、岡山ではボランチのレギュラーとして中核を担い、シーズンを6位で終えてプレーオフに出場してセレッソ大阪との決勝にまで辿り着いた。そして来季、矢島は満を持して浦和へ帰還する。彼が果たした責務と備え持つ信念、そして今後への覚悟を、日々岡山を取材するフリーライターの寺田弘幸氏に綴ってもらった。

Text by Hiroyuki TERADA

リオ、岡山、戦いの日々

レンタル期間を延長して迎えた矢島慎也の岡山2年目のシーズンは、日本サッカー界の中で一番と言っても過言ではないほど濃厚なシーズンだった。リオ五輪出場を懸けて戦った1月のAFC U-23選手権に始まり、リオ五輪のメンバー入りを目指して全力で駆け抜けたリーグ前半戦を経てリオ五輪本大会出場。そして、岡山をJ1昇格に導くために戦ったリーグ後半戦。J1昇格プレーオフ。結果は満足いくものばかりではなかったが、だからこそ大きな財産を得た一年だったとも言える。

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