短期集中連載・浦和レッズ・激闘の証ー選手コラム&ストーリー『駒井善成ー揺るがぬ視線』

2016シーズン成績】

MF 18 駒井善成

2016シーズン採点 5.5

Jリーグ 23試合0得点

チャンピオンシップ 2試合0得点

YBCルヴァンカップ 4試合0得点

天皇杯 1試合0得点

AFCアジア・チャンピオンズリーグ 2試合0得点

ベストゲーム:Jリーグ2ndステージ第14節・ガンバ大阪戦

ヨーロッパで戦う者

昨年の秋にドイツ・ベルリンのオリンピア・シュタディオンで日本人の男性に声を掛けられた。話を聞くと、2015年の夏までJ3のAC長野パルセイロに所属していたが、自ら海外でのプレーを模索して単身ヨーロッパへ渡航したのだという。彼の名前は井上寛太選手。1991年生まれの京都府出身で、後にスロヴェニア3部のNKドブロブチェに加入するが、ベルリンで会った当時の彼は、まだ無所属だった。

聞けば、ヨーロッパでのプレーはかねてからの夢だったという。立命館大学から北信越リーグ1部のJAPANサッカーカレッジ、そしてJ3の長野と着実にステップアップを果たす中で、それでも志を備え続けて自ら契約を打ち切り、未知の世界へ飛び込んだ。傍から見ると無謀にも思える挑戦だが、それでも彼はどこまでも前向きだった。

そんな彼が、ふと呟いた。

「善成は元気ですか? アイツは京都ジュニアユース、京都サンガF.C.U-18時代にひとつ歳下で共にプレーしたことがあるのですが、僕らの代では能力がずば抜けていた。でも、善成はジュニアユース時代から京都の下部組織で育ってきたから、彼が(京都)サンガから浦和へ移籍するのを聞いた時はびっくりしたんです。Jリーグでもトップに位置するレッズで、彼はやっていけているんでしょうか?」

自らの境遇の方が苦難に満ちているのに、彼は旧知の仲間を気にかけていた。立場は違えども、そのキャリアに貴賤などない。目標に到達するために、希望を叶えるために、それぞれが、それぞれの場所で勝負する。それがサッカー選手の宿命でもある。

(残り 1955文字/全文: 2753文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »