【無料掲載】2017明治安田生命J1リーグ第6節・ベガルタ仙台戦[ミハイロ・ペトロヴィッチ][監督コメント]

○ミハイロ・ペトロヴィッチ監督
今日、浦和レッズは勝利に値するゲームができたと思います。ただ、少しスコアに差がつきすぎたゲームでもあったと思います。サッカーでは、今日の仙台のように、やろうとしたことが全くうまくいかない日もあります。点差はだいぶつきましたけど、それほど大きな差があったとも私は思っていませんし、間違いなく仙台はこうした試合を通して、次の試合に強い気持ちを持って戦っていくのではないかと思います。

Q 仙台の固い守備を破ってゴールを決められたポイントは?
仙台だけでなく、我々と対戦するチームの多くは、同じように守備的な戦い方をしてきます。私は監督なので、自分のチームを主観的に見ますが、みなさんは外から客観的にチームを見られるでしょうから、なぜ我々が今日、守備的な仙台に対して得点できたのかはみなさんが客観的に見たものを書けばいいのではないかと思います。

基本的に7-0で勝利すれば、なんでも好きなようにコメントすることはできるでしょう。私はスポーツマンです。7-0で勝利した後、0-7で敗戦した相手に対して傷口に塩を塗り込むようなコメントをする必要はないと思っています。我々は今日、7-0で勝利しましたけど、7ポイントを取ったわけではなく、3ポイントを取っただけです。今日、仙台とは点差がかなり離れましたけど、そこまで点差が開くほどの弱い相手ではないはずです。

ただ、事実として私が言えることは、今の浦和レッズは非常にモダンな、完成度の高いサッカーをしているということです。私は日本で11年、仕事をしていますが、その中でも最も美しく完成度の高いサッカーをしているベストチームのうちのひとつとして挙げられるのではないかと思います。

もちろんG大阪戦のように、いいゲームをしながらも1-1で終わるゲームもあるでしょう。最終的な順位は何位で終わるかわかりません。ただ、我々のサッカーはモダンで美しく、力強いということは間違いなく言えるでしょう。

神戸戦に関しては、勝利しましたけど試合の後には前半の出来が悪いことについてコメントしました。逆に、1-1で引き分けたG大阪戦は私はすばらしいゲームだったと思います。もちろん、負けることも十分にあったと思いますけど、それでも私は非常にテンポの早い、すばらしいアイデアのあるサッカーができたゲームだったと思っています。なぜ、私が内容を重視しているかと言えば、長丁場を戦う上でその部分をしっかり評価して戦っていくことが、長いスパンで考えたときに結果につながっていくからです。

昨日の試合前日の記者会見で、1人のメディアの方から「ここ5試合で、毎試合失点をしている」と質問されましたただ、ただ、我々は反対に、5試合で13得点しているチームだと。その話の中でメディアの方に聞いたのは「今日のゲーム、1-0で勝利する浦和がいいのか、4-1で勝利する浦和がいいのか、どちらがいいのか」。私は、サッカーは見る人があってのスポーツだと思っています。1-0で非常に固い、お互いがあまり攻撃し合わないゲームは見ていてあまり面白くないと思いますし、我々が多く得点するような攻撃的なサッカーをすれば、見る方にとっては面白いサッカーだと思います。

完成度が高いと話しましたけど、まだまだ修正できる点はあると思います。ここ最近は、比較的安定した戦いができてはいますが、試合、あるいは試合の時間帯によっては若干不安定な戦いを見せてしまうこともあります。その意味では、毎試合、あるいはゲームの中でも長い時間、自分たちの戦いを安定した形で出していけるようになっていかなければいけません。

駒井選手、関根選手、青木選手など我々のチームには多くの若い選手がいます。我々は強い戦いを見せられてはいますが、選手一人一人を見れば、決して完成しきった選手たちではないでしょう。海外を見れば、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、マンチェスター・シティなど、何十億もかけて完成した選手を連れてきて、それでチームを作っているところがありますが、我々はそういうチームではないはずです。その意味では、選手一人一人の個の積み上げ、成長もまだまだやっていかなくてはいけませんし、その中でいかにチームとして戦っていくことを考えながらやっていかなければいけません。

そういう意味で、安定感がないところがまだあるのかなと思いますが、武藤選手もうちにに来て非常に伸びている選手ですし、仙台ではなかなかレギュラーで出られなかった選手でした。その意味では、これからまだまだ、選手たち一人一人が成長していってほしいと思います。

やはり、我々はチームとして戦うことを第一に考えていますし、チームとしてのやり方を選手たち一人一人がしっかりと理解していく中で、個人の選手それぞれが成長していくことがチームの成長につながると思います。

Q 後半、浦和はリーグの中で最もカウンターがうまいチームなのではないかと感じたが、そういう展開をイメージして後半に臨んだか?
相手が下がって自陣でブロックを作ってきた中で、我々がボールを持って仕掛けて崩していくというのは決して簡単ではありません。それはレアルでもバルサであっても、どのチームであっても引いた相手を崩すのは決して簡単ではありません。我々と対戦するチームの多くは、我々に対して守備を固めてカウンターを狙ってきますが、それに対して我々は、それをいかに崩していくかを十分にトレーニングしています。

ただ反対に、相手ボールになったときに、我々がボールを奪って早くカウンターを仕掛けるのも狙いの一つです。相手がボールを持って仕掛けてくるような展開の中で、ボールを奪った瞬間は相手はオフになります。そこを、いかに早くゴールに結びつけられるか、そこも我々の狙いのひとつであるのは間違いありません。

ボールのないところのオフの動きの質が非常に大事です。いかにボールを持っていない選手が危険に、相手の嫌なところに走り出せるかどうかです。そこが浦和の強さでもあるのではないかと思います。ボールを持っている選手はどこに出すかを判断して、パスを出します。ただ、決定的に大事なのは、複数の選手がいかにフリーランニングで相手の嫌なところに走り出せるかどうかです。今日のゲームでも、何回かそういういいシーンが見つけられたと思いますが、たとえば青木選手がボールを出すのが早すぎたり、あるいはボールを持っている選手がフリーランニングする選手に対して、一番いいところで出せなかった時もありましたけど、大事なのはボールを持っていない選手がいかに相手の嫌なところに危険に走れるかです。

最近は走行距離を統計として出していることが多いですが、たとえば12km以上走っていればその選手がすばらしいかと言えば、そうでないこともあるでしょう。闇雲に走っているだけで、危険な走りができていなければ、その走りは効果的とは言えないでしょう。危険に走るのであれば、12kmも走る必要はありません。相手の嫌なところ、決定的なところに走る、それを繰り返せるのであれば5kmでもいいくらいです。そういった、数字だけを追いかけて見てしまうと、サッカーの本質からは外れてしまいます。

メッシ選手も、決して走行距離が長い選手ではないでしょうけど、少ないスプリントの中で非常に質の高い動きから得点を重ねられる選手です。ただ、そういうものを測るのがひとつの新しいやり方、基準として見ている監督も多いと思います。

上海、がんばりましょう。

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