意味のある敗戦、首位通過も決定【島崎英純】AFCアジア・チャンピオンズリーグ・グループステージ第6節・FCソウル戦レビュー

試されたバックアッパー

GKは榎本哲也、バックラインにはリベロ・那須大亮、左ストッパー・槙野智章と共に、右ストッパーには田村友が入った。榎本と田村は浦和加入以来初の公式戦出場である。ボランチは青木拓矢と駒井善成のコンビ。両翼は右・菊池大介、左・宇賀神友弥で、今回は宇賀神がキャプテンマークを巻いた。そして前線トライアングルは1トップ・ズラタンに、シャドーに李忠成と右足第5中足骨疲労骨折の負傷が完治した高木俊幸が先発でピッチに立った。

かつてないほどの大幅なターンオーバーには様々な理由がある。浦和はすでに上海上港と共にACLノックアウトステージへの進出を決めており、最終節の今回は最終順位を決めるゲームだった。ノックアウトステージ・ラウンド16の対戦相手は1位突破ならば済州ユナイテッド(韓国)、2位突破ならば江蘇蘇寧(中国)で、どちらが相手でもタフな強敵が待ち構えている。

ただ済州が現在韓国Kリーグでトップを走るのに対し、江蘇は中国スーパーリーグで意外にも最下位に沈んでいる。また済州は対戦経験がなく未知の存在だが、江蘇は今季の沖縄2次キャンプのトレーニングマッチで手合わせしていて少なくともチーム力を認識している。おそらく浦和はどちらと対戦する方が勝ち上がりの可能性が高いかを画策していたはずで、今回は大胆に主力を休養させる策を採った。

今試合に欠場した主な選手はGK西川周作、DF遠藤航、森脇良太、MF柏木陽介、阿部勇樹、関根貴大、武藤雄樹、興梠慎三、ラファエル・シルバ。このうち、遠藤と柏木は負傷による欠場だった。これだけのレギュラーがソウルへ帯同しなければ当然チーム構成が様変わりする。公式戦の舞台でバックアッパーがどれだけのポテンシャルを示せるか。それが今試合の注目ポイントになった。

対するFCソウルもすでにACLグループステージ敗退が決まり、Kリーグとの並行開催で過密日程を消化している事情もあって多くの主力がメンバー入りしなかった。エースFWのデヤン・ダムヤノビッチ、韓国代表DFカク・テヒらはベンチにも入らず、かろうじてFWパク・チュヨンがベンチ入りしたくらいで、スターティングメンバーに名を連ねたのは浦和と同様に普段出場機会が限られている若手選手たちなどだった。

試合全体の趨勢について、FCソウルのファン・ソノン監督は試合後にこう語っている。
「私は前線からのプレッシャーに関して肯定的に捉えています。今日の試合でもタイミング自体は悪くなかったので、練習を通して他の選手たちとも息を合わせていきたいと思います。(中略)
私は攻撃陣が守備陣と一緒になって、ビルドアップするチームに対して前線から守備をすることは悪くないと考えています」

敵将の言葉には違和感がある。

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