【無料掲載】明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2017・ボルシア・ドルトムント戦[ミハイロ・ペトロヴィッチ監督][監督コメント]

◯ミハイロ・ペトロヴィッチ監督
今日は残念ながら敗れてしまいましたけども、決して悪いゲームではなかったと思います。浦和は負けるといつも批判をされますけど、今日は批判されるようなゲームではなかったと思います。浦和は結果を厳しく見られるチームですので。

今日、両チームとも素晴らしいゲームをしたと思います。私は今日のゲーム、スペクタクルな素晴らしいゲームだったと思っています。今日はチケットもソールドアウトで、満員のスタジアムに見に来られた方、そしてテレビの前で見ていた方、みなさんが見応えのある、満足できるゲームだったと思います。少なくともレッズとしては、引き分けで終わりたいゲームではありましたけども、試合自体は悪いゲームをしたとは思っていませんし、良いゲームができたと思っています。

Q 最近は苦しいゲームが多かったが、立ち直りのきっかけをつかめる試合だったか?
一クラブの監督として、あまり言いたくはないですが、おそらく言わなければいけないでしょう。レッズはJ1で戦うよりも、ブンデスリーガのようなお互いの強さを出し合うような戦いをしてくるチームとの対戦の方がやりやすく、良い戦いができると思います。

私は日本で12シーズン目ですが、私のチームのサッカーを見て、多くの日本の指導者の方が私のものを見ながら、その方向性の指導をされている方が増えてきたと思っています。多くの指導者は私のアイデアを自分のチームに取り入れながら戦ってくれていると思いますが、た、残念ながら私が言わなければいけないのは、全員とは言いませんが多くのメディアの方はなかなか我々のやっているサッカーを理解、評価していただいていないと感じることも多くあります。日本のサッカーを見る方々は結果を重視する方々が多いと思います。

今日はドルトムントと対戦しましたが、いかに我々のしているサッカーが世界的に見ても稀なサッカーであるか。毎回毎回、Jリーグの試合の中で、相手の10人が引いてカウンターを狙うだけのサッカーをしてくる相手と戦うことが難しいことはご理解いただきたいです。そういう戦い方をしてくるチームに対する、評価の仕方も変わっていかなければ、サッカーを見る者にとって決して面白いものにはならないでしょう。

我々のサッカーは世界的に見ても非常に稀なサッカーであり、アイデアに富んだ素晴らしいサッカーであると自負しています。そういったものを、日本のメディアの方々はなかなか評価する人が少ない、あるいは私がこの12年間の中で、見ている人たちの考えや見方を変えることができなかった、そういう状況にあると思います。だから、私が今後、日本で仕事をすることは長くないかもしれません。

ただ、一つ言えることは、今日の試合を見られた方は本当に素晴らしい、面白いゲームを見ることができたということです。少しでも今日のような試合を通して、多くの方々がサッカーやJリーグに興味を持って見ていただきたいですし、少しでもサッカーを見る方が増えればと思います。日本でこういった素晴らしいゲームが見られることは稀であったと思います。

Q 後半に那須を3バックのリベロに入れて遠藤を右のストッパーで使ったが、あの位置に入った遠藤はラインブレイクして攻撃に参加するなど動きの幅ができていて、今後も実戦で使えるのでは?
いつも見に来られている、ここにいるメディアの方は少し、日本の中でもサッカーの見方が違う方だと思っていますが、今の遠藤選手であるならば、リベロのポジションよりも、おそらく右のストッパーの方が彼の能力を発揮できると思っています。ただ、そこにポジションを移したことによって、チームとして何が得られて、何が失われるのかをしっかり考えて起用しなければいけません。

残念ながら我々はドルトムントではないので、20人のナショナルプレーヤーがいるわけではありません。遠藤が右ストッパーに入ることによって、代わりにリベロに入る選手がいる中で、チームにとってプラスなのか、マイナスなのかを考えたときに、私はリベロに入る選手を代えてチームとしてプラスになるとは見ていません。そこは正直に話をしています。そういったことも、メディアの方は我々のチームを分析する中で、どうかというところを考えるべきではないかと思います。

我々はチームとして常に前進していかなければいけません。本来であれば、若いDFの選手が出てこなければいけません。DFラインの中で競争に勝っていく選手が出てこなければいけないのは確かです。ベテラン選手の起用が増えることは、チームとして進んでいないということです。

そのところで、私はチームとして前に進んでいくために仕事をしなければいけないと思っています。私が浦和で仕事をする限りは、一つでも前に進んでいかなければいけないと思っています。ただ、現実的に我々が置かれている状況というのは、その部分で試行錯誤しなければいけない状態であると考えています。

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