危機的な攻守の瓦解。陣容刷新は必須だ【島崎英純】2017明治安田生命J1リーグ第22節・セレッソ大阪戦レビュー

瓦解した攻守

 浦和レッズはどうしてしまったのか。噛み合わない攻撃。脆弱な守備。空回りする意思。チームバランスが瓦解して個性が埋没している。

 ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は前線トライアングルの陣容を入れ替えた。1トップに興梠慎三を据え、シャドーにはラファエル・シルバとズラタンという初の組み合わせ。意図は分かる。セレッソ大阪のシステムは4-2-3-1で、縦横ともにコンパクトな陣形を保って守備ブロックを築き上げる。浦和としてはサイドスペースへパス供給して宇賀神友弥や関根貴大が1対1勝負を仕掛けてクロスから得点を狙いたい。そうなれば興梠、ラファエル、ズラタンのようなフィニッシャーをゴール前に配備するのも道理だ。素早い攻守転換からのカウンター狙いならば武藤雄樹や高木俊幸らの機動力が生きるも、サイドアタックを主軸とするならペナルティエリア内の局面バトルで秀でる選手を起用した方が得点率を高められる。またC大阪は体格に秀でた選手が多く、守備時のセットプレーでは小柄な選手だけで対抗するのが難しい算段もあったようだ。ペトロヴィッチ監督は試合後の会見でこう述べている。

「セレッソは高さのある選手がゴール前に入ってくるセットプレーがストロングポイントのひとつでしたので、高さのあるズラタン選手を起用しました」

 しかし、実践初ユニットのコンビネーションは壊滅的だった。ポストワークに優れる興梠が最前線に立っても事態は好転せず、連動したパスワークが希薄で、パス方向は縦ではなく横へと終始した。特にラファエル・シルバは独力打開が顕著で、今季浦和へ加入した当初のチームファースト的所作が影を潜めた。闇雲に相手ゴールを強襲する一手は前半アディショナルタイムの2点目に結びついたが、それだけ。ペトロヴィッチ監督が掲げるコンビネーションサッカーとは対極を成すプレーパフォーマンスで、これではチームコンセプトを踏襲できず、攻撃バランスが整わないのも必然だ。

(残り 5164文字/全文: 5976文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2 3 4
« 次の記事
前の記事 »