【コラム】日々雑感ー浦和レッズ・低迷の理由を探る

下降線を辿るバイオリズム

 浦和レッズが危機に瀕している。2012シーズンにミハイロ・ペトロヴィッチ監督が指揮官に就任してからは最大の窮地だ。シーズン開幕直後はJリーグ第1節の横浜F・マリノスに敗戦したものの、その後は6勝1分の無敗を続けて第8節終了時点で勝ち点19を積み上げ、2位・ガンバ大阪と勝ち点4差を付けてトップに立っていた。また並行して臨んでいたAFCアジア・チャンピオンズリーグでも中国スーパーリーグの上海上港には敗戦したものの、ウエスタン・シドニー・ワンダラーズ、FCソウルらには先勝してグループリーグを優位に進めて2年連続のノックアウトステージ進出を決めた。当時のチームはキャンプからハイプレス、ハイラインを貫徹する攻撃的思考で相手を凌駕し、ときに大量得点でねじ伏せるなど、そのアタッキング能力に周囲が警戒を強めていたほどだった。

 しかし、浦和はJリーグ第9節の大宮アルディージャとのダービーマッチを0-1で落としたところから急激にチームパフォーマンスが低下する。大宮戦後のリーグ成績は3勝1分7敗。この間、浦和の勝利はアルビレックス新潟戦での2勝とサンフレッチェ広島戦の1勝だけ。第18節終了時点(浦和とセレッソ大阪は、浦和が8月15日にスルガ銀行カップ・シャペコエンセ戦を戦うため、先に第22節を消化)で広島は17位、新潟は最下位の18位に低迷しており、浦和は下位の2チームにしか勝ち点3を得られなかったことになる。現在の浦和のリーグ戦成績は9勝2分8敗。他チームよりも1試合消化が多い中で8位に留まっている。

 顕著に目立つのは得失点の差異だ。19試合で得点45はリーグトップだが、失点数は同34で、これはリーグワースト3位の数字だ。前述の大宮戦からは11試合連続失点中で、その間のACL、天皇杯、ボルシア・ドルトムントとの親善試合を含めても17試合中無失点で相手を抑えたのはACLノックアウトステージ・ラウンド16第2戦・済州ユナイテッド戦(○3-0)、天皇杯3回戦・ロアッソ熊本戦(○1-0)の2試合しかない。

 当初はチーム全体のバイオリズム低下によるコンディション不良が守備力減退の要因かと思われた。しかし、4月30日の大宮戦から約3か月が経過してもチーム状況が上向かない。ペトロヴィッチ監督が標榜したアタッキングフットボールを鞘に収めて専守防衛に努めても失点を重ねる惨状は、明らかに異常事態を示していた。

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