【短期集中連載コラム】ミシャ体制崩壊、その理由ー第1回

突然の瓦解に潜む闇

 ミハイロ・ペトロヴィッチ監督体制6季目の浦和レッズが突如崩壊した。シーズン開幕当初は徐々に調子を上げ、リーグ、AFCアジア・チャンピオンズリーグともにタイトルを見据えて邁進していた。攻撃力が爆発して大勝を収めるゲームもあったし、強敵との熾烈な戦いを制することだってあった。

 沖縄での一次、二次キャンプの全日程を取材した。各メディアで報じられた通り、攻撃に特化したトレーニングが組まれたのは確かだ。しかし、それは昨季までもそうだったし、ハイプレス、ハイラインと称されるアグレッシブな所作も、運動量を駆使した高速攻守転換を組み合わせることでバランスを保とうとしていた。実際に今季序盤は凄まじいプレス&チャージとスピーディなカウンター、そして巧みなショートパスコンビネーションが随所に見られ、早々に優勝争いの最右翼と目された。Jリーグでは第2節で尹晶煥監督が就任したセレッソ大阪を圧倒。鬼門の神戸でもヴィッセルを砕いたし、ベガルタ仙台には7ゴールを浴びせて攻撃力を誇示した。またACLではウェスタン・シドニーをまったく寄せ付けず、昨季のノックアウトステージでPK戦負けしたFCソウルにリベンジを果たし、上海上港にはアウェーで先勝されたものの、埼玉スタジアムで勝利を果たして力を見せつけた。浦和と対戦した各チームは、その実力を再認識したはずだ。

 それなのに、今の浦和は指揮官が契約を解除され、リーグタイトルから遠ざかる中でトップコーチだった堀孝史氏が監督の職務を引き継ぐ状況に陥っている。これまで長く浦和の取材を続けてきたが、これだけ急激にチーム状況が低下した例を見たことがない。元々実力が足りなければ諦めもつくが、2017年の浦和は間違いなく各タイトルの獲得を目指す候補のひとつだっただけに、この落差に驚きを禁じ得ない。

 ただ、気になる点があった。それはチームコンディションの維持、特にフィジカル面の強化が十分だったのか。今季の沖縄キャンプを取材していて、その懸念が頭をよぎっていた。体力強化ができていないのではないかと……。

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