この街ー第4回『@2003 国際通り』
沖縄へ
シンジの住むオランダから帰国した。2003年1月の日本はロッテルダムと同じくらい寒くて、身体を動かすのが億劫だった。それでもプロサッカー選手として、オフ期間に休めた身体を呼び覚まして再びピッチで戦う準備をしなければならない。プロになって初めて年を越したオレは、すでにプロ生活5年目を迎えたヨースケを呼び出して計画を練った。
「ヨースケはこれまで、自主トレはどうしてたの?」
マイペースなヨースケが気のない返事をする。
「別に。キャンプが近づいたらランニングを始めて身体作りはしてたけど。だって、身体がなまったままキャンプインしたらキツイもん。仲間に遅れを取ったら試合にも出られないしね」
うむ。その通りだ。鈍った身体でチームに合流したら、狸のような風貌の監督から説教されるのが関の山だ。それだけは避けなきゃならない。
「じゃあヨースケ、沖縄に行こうか?」
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