浦レポ by 浦和フットボール通信

無料記事:懐かしの顔。Jクラブ初の指揮となる杉山監督と北九州に移籍した山岸選手が開幕で対戦!

ブラウブリッツ秋田の杉山監督とギラヴァンツ北九州のGK山岸選手が対決

浦和対決!舞台はJ3開幕戦!~秋田vs北九州

(Report by 河合貴子)

2017シーズンの幕開けが近づいている。今年もどんなに心が躍る熱い闘いが待ち受けているのか、楽しみでならない。J1、J2、J3の全54クラブの監督と選手が集結して、今シーズンの幕開けを告げるJリーグキックオフカンファレンスが開催された。キックオフカンファレンスでは、開幕戦ごとにクラブのブースが設置されるのは恒例となっている。

開幕戦の対戦相手と隣同士に並び、笑顔を見せながらも火花を散らしている姿は実に面白い。54クラブの全てが、今シーズン白星スタートを切りたいのは当然のことだ。どこに行っても会場内は、煮えたぎるような熱気に包まれていた。

J1は2月25日に開幕を迎えるが、J3は3月12日に開幕する。環境整備がなかなか整わないJ3の現状がある中で、街作りの一貫として都市開発の核となるように新設されたスタジアムが北九州のホームスタジアムとなる「ミクニワールドスタジアム北九州」である。小倉駅から徒歩7分と海に面したスタジアムで立地条件も良い。北九州は、このホームスタジアムのグランドオープンと位置づけて、秋田との開幕戦を迎えることとなった。

この北九州のゴールを守る守護神は、山岸範宏選手なのだ。対する秋田は、今シーズンからチームを率いる杉山弘一新監督だ。同じ時期に選手として浦和で共に闘ったことはないが、間違いなく浦和魂を持っている二人だ。

杉山監督は、アルビレック新潟シンガポールで監督として手腕を評価され、シンガポールリーグでは最優秀監督も受賞した。そして、昨シーズンはタイのプレミアリーグで監督として実績を積んで来たのだ。

浦和時代は親しみを込めて「スギ」と呼ばれ、サイドバックで必死に駆け上がり粘り強いプレーを魅せていた。本来は右利きであるが、両足で蹴れる努力家の印象がある。文句一つ言わずに、ただひたすらにボールを追いかけていた。あの「スギ」が、監督としてJリーグの舞台に帰って来たのだ。

杉山監督は「先程もレッズのブースに挨拶に行きました。懐かしい顔がいましたね」と懐かしんでいた。チームについては「みんな走ります。頑張りますよ。去年もアグレッシブでディフェンスもしっかりとやるサッカーを展開していたので、その良かった所を残しながら、新しいものを積み重ねようと今は、開幕に向けてチームを構築しているところ。凄く良いチームだよ」と手応えを感じていた。

また初となるJクラブでの指揮について「楽しみです。秋田に住むのは、初めてでしたが、秋田の皆さんはすごくサッカーが好きで、クラブが支えられていますし、昨季は間瀬監督の下で4位になり良いサッカーをしていたので、盛り上がりも高まっている。今年も一丸となって頑張ってやっていきたい」と秋田の盛り上がりを感じているようだった。

秋田のDF下田光平選手は「優しくて、親しみやすい監督で、指示とか凄く伝わりやすい。選手に指示を出すときも、「こういうのもあるよね」って選択肢の提示の仕方をしてくれる。アイディアを増やしてくれる」と話していた。

また杉山監督に志向するサッカーを聞くと「僕はとにかく勝ちたい。秋田はJ3優勝を目指しているので、どんなサッカーをするのも大事ですが、勝てることを逆算しながら勝つためにはどうするのか、今いる選手でどうするかをキャンプで試している所です」と海外クラブでも実績を残してきた杉山監督らしいコメントをくれた。

そして「J3の小さなクラブだけど、みんなポテシャルがある」と楽しそうに笑った。雪の多い秋田で、スタッフと雪かきをしながらトレーニングをしている。昔から杉山監督を知っているからこそ、初陣を白星で飾ってあげたいと思ってしまう。

だが、北九州には「ギシ」こと山岸選手がいる。浦和時代からシュートストップに定評があり、安定したプレーでゴールを守り続けて来た。山岸選手が失点するシーンなど想像もしたくない。

山岸選手は「J3から上に行くために、力を貸して欲しいとクラブから言われた。僕、個人としては、今年39歳になるけど新たなチャレンジの機会を与えて頂けたのは幸せなことだ。素直に感謝の気持ちを結果として、しっかりと返していくことが選手としての責任だ。一概に昨シーズンと比較は出来ないが、昨シーズンのチームは元気がなかったと聞いた。俺が出すしかないだろう?!って吠えてますよ」と笑った。GKの声は、神の声と言われるが、山岸選手は後方からチームを勝利に導くパワーを送っていた。

北九州を今シーズンから率いる原田武男監督は「彼が今まで経験して来たことを選手たちに落として欲しいし、後ろで守っていて一つ一つコーチングしてくれるのが的確でDF陣もやりやすい。今は、チームの中心になって元気良くやってもらっている。ただ、それがいつまでも彼に頼ってばかりではいけないと思う。それが、本当に選手たちに反映されていくことがチームが良くなっていくことだ」と話し「苦労をして来た選手なので、人間的にキャパが大きいですし、いろんな部分で頼りになる」と山岸選手に絶大なる信頼を置いていた。山岸選手にとってみれば、新天地で原田監督の信頼を裏切るわけにはいかない。

秋田の杉山監督と北九州の守護神山岸選手。立場は違うが、二人とも応援したくなるのが心情である。

浦和を愛する人々は、J3の試合を観る機会など滅多にないことだと思う。だが、元浦和対決となるJ3開幕戦の秋田対北九州の試合を注目して欲しい。浦和を離れて、年月を重ねた杉山監督と山岸選手が、J3の舞台で対決する。二人の男の生き様をしっかりと見届けたい。

また、杉山監督が就任した「ブラウブリッツ秋田」は、「将来の秋田の元気と笑顔のために」と理念を掲げてJ3へと参入したクラブである。しかし、秋田県内にJ1、J2の基準を満たすスタジアムが存在しない為に、J3で優勝してもレギュレーションによりJ2に昇格することが出来ない現状が待ち受けている。

そこで、秋田の活性化に繋がるスタジアム整備の実現を目指して、秋田県と秋田市へ提出する署名運動が行われています。この活動に賛同して頂ける方は、ぜひとも署名運動へのご協力をお願い致します。

杉山監督からも「デジタル署名もできるので、ぜひレッズサポーターの皆さんも協力をお願いします」とメッセージを頂いてきました。

詳しくは、ブラウブリッツ秋田後援会
http://bluepartner.jp/

「秋田市にスタジアムの整備を要望する署名運動」オンライン署名

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ