浦レポ by 浦和フットボール通信

阿部勇樹がACLにかける想いで、自主的にとった行動とは【こぼれ話】

(Report by 河合貴子)

ACLグループステージ突破に向けてチーム一丸となり、自分ができることをする

浦和がACLグループステージを突破するには、あと勝ち点1ポイントが必要だ。だが、本当の狙いは、ラウンド16に進んだ時に如何に優位に闘うことができるかを視野に入れると、グループHを無敵の強さを誇り1位突破を決めている江蘇蘇寧とは対戦したくない。

浦和がグループFを1位通過すれば、アデレード・ユナイテッドか、済州か、崖淵に追い込まれている状況のG大阪と対戦することになる。しかし、その前にACL・ホームのシドニー戦とアウェイのソウル戦に勝たなければならない。

それには、チームを後押ししてくれる浦和を愛するファン・サポーターの存在は欠かすことはできない。ホーム埼玉スタジアムで水曜日19時30分キックオフとなるシドニー戦のチケットは、前売りで約2万5千枚と浦和にしたら厳しい状況だ。

そこで浦和のファン・コミュニティー部が中心となって、浦和駅、浦和美園駅、東川口駅、鳩ヶ谷駅で通勤時間の朝7時半から、ビラを配ってシドニー戦の参戦の呼びかけが行われた。

朝、浦和駅担当のクラブスタッフが浦和駅に行ったところ、阿部勇樹選手がいて、ビックリ!!阿部選手は、コンディション調整のためにシドニー戦前日はオフとなっていたのだ。

そこで、自主的にビラ配りに参加してシドニー戦の告知に一役買っていた。阿部選手効果もあり、浦和駅では予定していた1,000枚のチラシはわずか35分ほどでなくなり、浦和の対戦日程のチラシを追加して配布されるほど盛況であった。

阿部選手のビラ配りを耳にした李忠成選手は「本当に?!凄いね!」と驚き「休みもらっているし、阿部選手が自発的にやるのは、上から指示されてやるとは力が一万倍違う。ひとつのビラ配りでも思いがこもっている。それを感じた人もたくさんいると思う。ACLに掛ける思いがあるからね」と話した。そして「李らしいプレーをする」と李選手は、阿部選手の気持ちをピッチの中で応えていく。

ACL優勝した10年前を阿部選手は知っている。その時、移籍してきたばかりの阿部選手は「みんなが、ACL出場の舞台を作ってくれた。僕は、それに乗っただけだ。一から作り上げたものではない」と優勝の喜びを噛み締めながらも複雑な表情を浮かべていた。

昨シーズンは、ラウンド16でFCソウルと延長までもつれ込みPK戦の末に敗退している。だからこそ、今シーズンに掛ける阿部選手は特別な思いがある。

思わぬ形でオフとなりシドニー戦を回避することになった阿部選手は、チームのために自分ができることをしようと思ったのだろう。それが、朝のビラ配りであった。

阿部選手の気持ちに、ピッチで闘う選手たちは必ず結果とともに応えていく。それぞれの置かれた立場で自分ができることを精一杯やり、チーム一丸となってACLグループリーグ1位通過をまずは目指して行く。平日の夜であるが、1人でも多くの浦和を愛する人々が参戦して、共に闘って欲しいと願う。

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