松沢呉一のビバノン・ライフ

JASRACをめぐる注目の動向 -「演奏曲目入力システム」と佐村河内守 (松沢呉一) -3,576-文字-

演奏曲目入力システムを再度応援する

 

vivanon_sentence昨日、江川ほーじん指揮の「日本の音楽これで委員会」のサイトに、弁護士による「JASRAC問題と、演奏曲目入力システムについて」がアップされてました。

 

FireShot Screen Capture #066 - 'RIS_演奏曲目入力システムI日本の音楽これで委員会 I Repertoire input system' - www_onnsa_jp

ここに「ビバノンライフ」の「ついにJASRACを追い込むか? ファンキー末吉と江川ほーじんの闘いに決定的な新兵器が登場」もリンクされています。当初は全文無料公開をしていたのですが、まさか、こんなに長期間アクセスが続くと思っていなかったので、途中から有料部分ありに切り替えてしまいました。すいません。自分で言うのはナニですが、音楽著作権やJASRACのことがわかっている人にとっては当たり前のことしか書いていないので、弁護士さんの文章を読めば十分かと思います。

そこに書いたことの繰り返しですが、このシステムは誰にとってもメリットがある話なのです。ライブハウス、ミュージシャン、作詞家、作曲家、客、そしてJASRACにとっても。サンプリングなんてことはしなくてよくなり、手作業でやっていたことはコンピュータがやってくれるんですから、職員を何人か減らせるくらいの話。

あとはこのシステムがうまく機能するのか、ライブハウスが対応できるのかどうかにかかっています。それができることを示せれば、JASRACはこれに反対する正当な理由を失います。なお受け入れないのであれば、何か不当な理由があるんじゃないですか。

これは勝てる試合です。だったら、勝ちに行きましょう。そのためにはできるだけ多くのライブハウスが協力することです。世の中には情報に疎いライブハウスもありそうですから、ライブハウスの利用者たちは、この情報を全国津々浦々のライブハウスに教えてあげましょう。

専門のライブハウスじゃなくても、ピアノバーやキャバレーなど、生演奏があり、JASRACと包括契約をしている店ならどこでもこのシステムを利用するメリットがあるはずです。このページによると、JASRACと契約がない店でも登録可ということですが、これは登録する意味がよくわからんです(追記参照)。

 

JASRACは著作権管理の考え方と「ゴーストライター」

 

vivanon_sentenceでは、後半。

今朝方、こんな記事がGoogleから届いてました。

 

佐村河内氏に印税返還請求も!JASRACが契約解除

「耳が聞こえない作曲家」として活動していた佐村河内守氏(51)の 楽曲がゴーストライターによる代作とされる問題で、楽曲の著作権を管理する「日本音楽著作権協会」(JASRAC)は6日、同氏との著作権信託契約を昨年 いっぱいで解除したと発表した。今後、第三者による楽曲使用の許可などは佐村河内氏本人が直接行うことになる。だが一方で、これまでJASRACが払って きた印税の返還を求められるなどの可能性も出てきた。

 “ゴーストライター問題”が2015年になって新局面に入った。JASRACはこの日、報道各社にファクスで佐村河内氏との信託契約を昨年いっぱいで解除したことを発表。同氏が作曲したとされていた103曲の使用許可などの手続きは今後、本人が行う。

 社団法人のJASRACは、作曲者など著作権者 と信託契約を結び、著作権を管理している。第三者による楽曲の利用などをチェックするとともに著作権使用料を徴収し、著作権者に還元する。関係者による と、昨年2月に代作問題が浮上して以来、103曲の著作権の管理を保留し、印税の支払いも凍結。佐村河内氏側に自身が作曲したとする証拠を求めてきた。同 氏サイドは昨年12月に改めて権利を主張したが、認められず今回の決定となった。

 ゴーストライターを務めていた新垣隆さん (44)が作曲者としてJASRACに申請するなどし、著作権者が確定すれば、印税はその人物に支払われるが、それまでは凍結状態が続く。これまでに約 18万枚を売り上げ、佐村河内氏に数千万円が入ったとされる「交響曲第1番 HIROSHIMA」の印税についてJASRAC関係者は「佐村河内さんに著作権がないと分かれば返還を要求します」とした。

スポーツ報知

けっこう微妙な問題。人気ミュージシャン自身が作詞、作曲していることになっている曲には実はゴーストがいるという噂があるわけです。ゴーストをやっている人自身がペラペラとしゃべっていることもあります。

本でも同じで、ゴーストライターが書いた本なんざ、ナンボでもあります。両者が合意している限りは問題にならないのですけど、このケースのように、のちのち揉めた場合にどうなるかって話。

JASRACはここでは厳しいですが、一方ではこんな話も。

自分の歌詞が盗用されてCDになっているらしい、と知って、何はともあれ真っ先に連絡したのは日本音楽著作権協会、いわゆるJASRAC。

デビュー河よりも長くゆるやかに して以来08年までは出版社を通じて、10年に個人会員となってからは信託契約というかたちで、私の作品の著作権はJASRACが管理している。連絡した 時点で相手もわかっていたので、当然JASRACの方から相手に対して、ダメですよー、と言ってくれるもんだと思い、電話して事情を説明したところ、こん な答えが返って来た。「うーん、それは当事者同士でお話し合いいただくしかないですねえ」
は?

あのー、と、いちおう食い下がった。そちらに登録してある私の作品が勝手に使われて、タイトルも変えられて、CDも出ちゃってるみたいなんですけど、JASRACはカンケーないんですか? すると、「うーん、それは人格権に関わることで、JASRACは管轄外なんです」

人格権?管轄外??

 

これは篠原美也子というミュージシャンの方のブログからです。本人が書いているように、著作権やJASRACについて無知であったことを嘆くしかないかと思います。

 

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