同性婚と条例との関係-渋谷区「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を検討する 3-(松沢呉一)-4,134文字-
パートナーであることの要件-渋谷区「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を検討する 1
虚偽申請を恐れる必要があるのか?-渋谷区「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を検討する 2
の続きです。
同性婚への反発が条例反対にずれ込んできた
まいったな。
谷垣幹事長 同性結婚相当の証明書に懸念
3月10日 12時56分
自民党の谷垣幹事長は、記者会見で、東京・渋谷区が区議会に提出した同性のカップルに「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行する新たな条例案について、社会制度や秩序の根幹に関わる問題だとして、法整備がないまま、地方自治体が条例で対応することに懸念を示しました。
東京・渋谷区は、同性のカップルに「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行する新たな条例案を先に区議会に提出し、現在、審議が行われています。
これについて自民党の谷垣幹事長は記者会見で、「自分は、伝統的な価値観の中で育っており、自分の価値観に従って述べてよいかどうか、非常に迷うところだ」と断わりつつ、「家族関係がどうあるかというのは、社会の制度や秩序の根幹に触れてくるものだ」と指摘しました。
そのうえで谷垣氏は「仮に法律ができているならともかく、法律ができていないときに条例だけで対応していくことは、社会生活を送る制度の根幹であるだけに、いろいろな問題を生むのではないか」と述べ、懸念を示しました。
危惧していた通りの展開になってきました。この危惧はメルマガやFacebookで書いていたのですけど、この条例の議論を同性婚の議論にもっていくと通るものも通らなくなります。通ったとしても、以降の反発も強いと思います。
同性婚の是非とは別に条例は成立する
現実に、この条例で認められるのは、婚姻制度に匹敵するものではあり得ないわけです。条例案では、任意後見契約が要件になっているため、財産にも関わってきますが、これは任意後見契約の効力に過ぎず、条例の効力ではありません。「民法で認められている相続を破壊するのか」との批判は的外れ。既存の制度を要件にしたことによる結果でしかありません。
憲法の議論をする必要はなく、民法をいじる必要もないのですから、同性婚に反対の人でも賛成していいのです。であるならば同性婚の議論よりも、条文の議論をした方がいい。
と思って、ここでもそれを実践してきたわけですが、皆さん、同性婚の議論の方がお好きなようで、そうなったら「ちょっと待て」と言う人たちが出てきてしまうに決まってます。案の定、反発なり警戒なりが吹き出してしまいました。
こうなってくると、私もやりにくくなります。私は条例自体は賛成。その上で、よりよい内容にできるし、すべきという立場からの疑義を提出しているわけです。
しかし、反対の人たちにとっても私の指摘は条例に対する突っ込みどころになってしまいそうです。気づく人は気づくにしても、条文も理解しないでギャーギャー騒いでいるホモフォビアにまみれた連中の参考にされても困りますから、以降は有料登録者のみ読めるようにし、今までの分も同様にします。
どのみち、渋谷区議会での議論は進んでいて、私が何を言おうと間に合わないので、他の自治体では議論を積み重ねることを期待しつつ、渋谷の「パートナー条例」の改善点を検討するだけ検討しておきます。
※写真は昨年のレインボープライド
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