松沢呉一のビバノン・ライフ

新宿二丁目のゲイバー摘発に見る警察の思惑-次は従業員の逮捕か?(松沢呉一) -2,084文字-

 いよいよ来たか? ゲイバー、スナック壊滅作戦

 

vivanon_sentence警察は新たな領域に踏み込んだんじゃなかろうか。本日の報道。

 

客とカラオケ、新宿2丁目無許可ゲイバー摘発

無許可で風俗営業をしていたとして、警視庁は10日、東京・新宿2丁目のゲイバー経営者(32)を風営法違反(無許可営業)容疑で現行犯逮捕したと発表した。

同庁幹部によると、5日夜、東京都公安委員会の許可を受けずに、新宿区新宿2の店舗で客の男性会社員(26)とカラオケを歌うなどの接待をした疑い。容疑を認めている。

同庁によると、同地区には約450店のゲイバーがある。大半は風営法の許可は受けず、客の接待はできないものの朝まで営業できる「深夜酒類提供飲食店」として届け出ているという。

 

同じことを何度も書くのは面倒なので、これまでに書いてきたことを参照して欲しいのですが(とくに「ガールズバー考  ・・・女性従業員が風営法違反で逮捕される時代に」がわかりやすいかと思います)、二丁目のゲイバーのみならず、ゴールデン街のバー、あらゆる街にあるスナックの類は、警察がその気になればいつでも摘発できます。その「いつでも」がついにやってきた感があります。風俗営業法判例集

ガールズバーが摘発されるのは、なにやらいかがわしいことをしていて、にもかかわらず、女子高生までを雇っているからだと思っている人たちもいるのでしょうが、あれも接待があると見なされるために風俗営業になって女子高生を雇っていることが問題になるわけですし、18歳未満を雇っていなくても摘発されています。従業員が客と話し込んだり、ゲームをしたことが接待とみなされさるわけです。

ガールズバーの摘発をこの社会は容認してきて、女性従業員が逮捕されることまでを容認してきた以上、同じく接待をしているあらゆる飲み屋に範囲が拡大していくのは必然です。それが始まったと見ていいのでいはないか。とするなら、ガールズバー摘発で恒常化しつつある従業員の逮捕もあり得ましょう。

 

今回の報道で注目すべき点

 

vivanon_sentence警察はやりやすいところ、反発されないところから着手して、徐々に拡大していくのが定石です。風営法ができた当初から、カウンター越しでもの接待になると警察は見ていながら、そこは長らく放置。

しかし、昨今は無許可ヘルスは浄化され、クラブを摘発すると反発されるためか、生活安全課は虎視眈々と範囲拡大を狙っていて、まずはガールズバーで既成事実を作りました。

二丁目のゲイバーが摘発された例は過去にもありますが、その時はボックスのシートに従業員が腰掛けての接待です。そのため、ボックスの接待を控えた店もあり、接待をしないことをアピールした店もありました。

今回は事情がまだよくわからないのですが、カラオケのデュエットが接待ということであり、デュエットだったらボックスで同席する必要はないようにも思います。

どういう状態でデュエットしていたにしても、今回の報道は注目すべき点がありす。

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